tl_bnr_land

映画「正直不動産」主演の山下智久はドM? 芸人級アドリブと真剣勝負したシソンヌ・長谷川忍「しんどいって言いながらも、自然とキツい環境に身を置いちゃう人」

磯部 正和 磯部 正和

長きにわたり愛される映画『正直不動産』で、登坂不動産の営業部長・大河真澄を演じるシソンヌ・長谷川忍。主演の山下智久や福原遥らが現場で見せた驚きのアドリブ合戦の裏側から、長谷川の出演シーンにまつわる自虐的なアピールまで、たっぷりと語ってもらった。

いつしか共演者も巻き込む自由演技の場に

不動産業界のリアルを描き、長く愛され続ける本シリーズ。共に歩んできた歳月を振り返る長谷川の表情には、作品への深い愛着と、周囲への感謝の念がにじむ。

「シーズン1の撮影が始まったのが2021年頃なので、気づけばもう5年以上。ほんとありがたいです。いろんな人から『見ているよ』って声をかけてもらえるんで、出演してよかったなって。親孝行にもなりました」

息の合った共演者たちが顔を揃える撮影現場では、時として台本の枠を軽々と飛び越える魔法のような瞬間が訪れる。それは、張り詰めた空気から解放された役者たちが密かに楽しむ、共犯関係の証でもあった。

「最初は僕がふざけていたんですが、気づけば山下さんたちもやり始めて。登坂不動産以外の真面目なシーンで溜まったストレスを、うちのシーンで発散しているんじゃないかって勝手に思っています。堅苦しいシーンの後ほど弾けている気がして。シーズン1は僕が一方的にふざけていたのに、いつの間にか福原さんが仕掛けてきたり、山下さんが全然違うことやってきたりして、自由な空気ができていきましたね」

アドリブという名の予測不能なパス回しが生まれた背景には、制作陣から託された揺るぎない信頼と、あえて与えられた圧倒的な自由が存在した。

「監督からは『昭和気質の古いタイプの上司の感じで』と言われただけで、あとは『このシーンで大河的に何かやりたいことある?』って、いい意味で丸投げでした(笑)。『やりたいようにやっていいよ』っていう空気を作ってくれたんで、最初から好き勝手やれた部分はあるかもしれないですね」

山下智久のストイックさと福原遥のオンオフに驚嘆

カメラの前で常に新しい表現を模索し続ける主演・山下智久。その圧倒的な熱量は、笑いのプロフェッショナルである長谷川のプライドを強く刺激し、同時に心地よい焦燥感を与えていた。

「山下さん、意外とリハと違うことしてくるから驚きますよ。芸人って『毎回同じことするのは恥ずかしい』っていう謎のプライドがあるんですけど、山下さんもリハが3回あったら3回とも芝居を変えてくるんです。芸人以外でそんな人見たことなくて。こっちは一応芸人だから『毎回違うことやっていたよ』って役者さんに言われたくて頑張るのに、山下さんもついてくるから本当にすごい。でもそれがプレッシャーになることもあって、『山下さんが変えてくるなら、僕も変えなきゃ!』って焦ったりしていましたね」

 極限まで自身を追い込みながらも、どこか楽しげに困難へと立ち向かっていく。そんな座長の底知れぬタフさを、長谷川は最大限の敬意とユーモアを交えて表現した。

「山下さんは作品や仕事に本当に真摯ですよね。よく倒れないなって感心するくらいタフ。ストイックって言葉もぴったりですけど、僕の中では『ドM』だと思っています(笑)。しんどいって言いながらも、自然とキツい環境に身を置いちゃう人なんですよ。今はとにかく、長生きしてほしいなって思っています」

さらに長谷川の目を奪ったのは、後輩社員を演じる福原遥のミステリアスな素顔だ。本番の声がかかる瞬間に見せる鮮やかな変化は、ベテラン芸人の想像さえも易々と超えていく。

 「福原さんも急に仕掛けてくるんですよ。リハでやってないことを本番でぶっ込んできたり。普段はぼーっとしているのに、お芝居になった瞬間の入り込み方がハンパない。若い女優さんの中でも特にスッと役に入るタイプでかっこいいですね。オフの話を聞いていると少しおっちょこちょいなので、よく台本覚えられるなって不思議ですけど(笑)」

 百戦錬磨のベテラン・草刈正雄が醸し出す重厚なオーラは、長谷川の芝居に心地よい緊張感をもたらす。カメラの裏側で交わされる視線の応酬もまた、かけがえのない喜びとなっていた。

「草刈さんの前だとやっぱり背筋が伸びますね。でも僕がふざけるのをすごく喜んでくれて、本番中もいじってくださるんです。僕が社長にビクビクしているのを分かってるから、急にグッと睨んできたり、余計なことしているとジッと見つめてきたり。いろんな方との掛け合いができて楽しかったです」

 愛すべき大河部長のシーンは「トイレ休憩のチャンス」!?

足掛け数年、同じ人物の人生を生き続けるという稀有な経験。テレビ画面を越えて愛される大河というキャラクターは、いまや長谷川という芸人の血肉として深く刻み込まれている。

「こんなに長いこと同じ役をやるのは初めてですね。コント番組でもなかなかないですよ。コントに例えるのもあれですけど、自分の代表的なキャラクターが一つできたような感覚かな。大河っていうキャラを世間の皆さんに受け入れてもらえて、長く愛されたことで、自分の中でもしっかり確立された感じがしますね」

笑いと涙が交錯する人間ドラマの最高峰として、自信を持って世に送り出す本作。スクリーンでの再会を誓う長谷川は、最後に照れ隠しのような極上のジョークを放ち、大河部長としての役割を見事に締めくくった。

「全部が見どころですけど、僕がこの作品で一番好きなのは『人情』なんです。今の時代に人情物でこれだけ人を惹きつけられるのはすごいし、いつの時代にもあってほしいですよね。2020年代の人情ドラマのトップであってほしいし、幅広い層に楽しんでもらえると思うので、ぜひ映画館で見てほしいです。あ、でも僕の出演シーンは見なくても物語に全く影響ないので、トイレに行くならそこがチャンスです! これだけは伝えておきます。僕のシーンを見逃しても、話はちゃんと分かりますから(笑)」

映画『正直不動産』は5月15日より全国ロードショー

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース