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天ぷらそばをオーダー、「天ぷらは別のお皿に」と要望したら… 「それなら単品でご注文を」と拒否された! サクサクの衣を食べたいのに…【調理師が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

そばが大好物のAさんは、行きつけのそば屋で天ぷらそばを注文する時は、いつも「天ぷらは別のお皿に盛ってください」とお願いしていました。そんなAさんがある日、初めて訪れたお店で同じようにお願いしたところ、「それでしたら単品でご注文ください」とあっさり断られます。

しかしそばと単品のえび天を注文すると、その分値段が高くなってしまいます。また、衣がサクサクのうちに天ぷらを食べたいと別盛りを頼む人は少なくないとAさんは考えていました。そのため「盛り付ける場所を変えてもらうだけなのに、なんで?」と不満を抱きます。

ではなぜ天ぷら別盛りを嫌がる店があるのでしょうか。和食調理師の田沢まさみさんに話を聞きました。

サクサクで食べたいお客さんとお店側のこだわり

ーAさんの場合、盛り付ける場所を変えるだけのお願いに思えますが、お店にとって対応が難しい場合もあるのでしょうか?

お客さんからすると、お皿を一枚増やすだけですが、お店から見るとそう単純ではありません。器が増えれば洗い物も盛り付けも増え、忙しい時間帯だと一人分のイレギュラー対応で厨房全体の流れが乱れてしまいます。

また、味の面でいうと、お店では、あらかじめ天ぷらを乗せた状態でそばつゆの味の濃さやうまみを設計して提供している場合があります。天ぷらに含まれる油分がそばつゆに移行してコクや深みを出してくれるためです。

こだわったお店ではそのうま味をあらかじめ計算している場合があり、別々に提供した場合味が濃く感じてしまうため避けている可能性もあります。

ーでは、お店にお願いするとき、どんな伝え方をすると通りやすいのでしょうか?

コツは、目的と引き際をセットで伝えることです。たとえば「サクサクで食べたいので、もし可能なら天ぷらを別皿にできますか。難しければそのままで大丈夫です」。この一言があるだけで、お店側は食感の好みとして別盛りをお願いしていると判断できます。

逆に、目的が曖昧なまま「別盛りにして」とだけ伝えると、お店側はアレルギーなど安全面の責任まで考えてしまい、慎重にならざるをえません。お店ごとに方針も流儀もありますから、断られたら素直に引き下がるという距離感、そして天ぷらのうまみがそばつゆに移った濃厚なそばつゆを楽しむという姿勢が、お互いに気持ちよく食事するためのコツだと思いますよ。

ーそもそもサクサクの天ぷらがしなびるのはどうしてでしょうか?

しなびる原因は、水分です。油で揚げた直後の衣は、中の水分が一気に飛んで細やかな気泡がびっしり並んだ状態です。このからっと乾いた状態がサクサクを生み出しています。ところが時間が経つと、具材の中から衣へじわじわ水分が移ったり、空気中の湿気を吸ったりして、湿った状態になります。これがしなびる原因です。乾いているほどサクサクで、濡れるほどしんなりします。

ーつゆに浸かってから、どのくらいでサクサク感はなくなるのでしょうか?

衣が液体に触れると数秒から十数秒で、サクサク感はなくなります。つゆに浸さなくても具材からの水分や湿気でサクサク感はなくなっていくので、サクサクで食べたいなら出てきた瞬間に食べるのが鉄則かもしれません。

ー天ぷらを別盛りにすれば本当にサクサクが長持ちするのでしょうか?

効果はあります。つゆに直接浸らなければ、一気に水分を吸ってしまうことは避けられるためです。ただし、別盛りはサクサクのまま止めるのではなく、長引かせるものだと考えてください。海老やかぼちゃといった具材の内側からは、別皿にのっている間も水分が出ています。衣の種類や揚げ方にもよりますが、別皿でも食感は少しずつ落ちていくんです。

◆田沢まさみ(たさわ・まさみ) 調理師
某鉄人系和食店で11年修行し技術と現場力を習得。食品開発に従事し多角的な視点を持つ。筋トレを愛する日本料理調理師。
▽note
https://note.com/tazawamasami03

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