みなさんは、「最近働きすぎかも」と感じたことはありませんか。株式会社ジェイックが行ったアンケート調査で、20代正社員の約7割(67.5%)が「月20時間以上」の残業で"働きすぎ"と感じていることが明らかになりました。また、3割以上の若手社員が、実際に働きすぎによってワークライフバランスが保てていないと回答しています。
この調査は、企業向けの教育研修事業と採用支援事業を展開する株式会社ジェイックが、同社の就職支援サービスを利用して就職・入社した20代の正社員142名を対象として、2026年2月にWebアンケート形式で実施したものです。
ワークライフバランスが「保てていない」が3割超
まず、「"働きすぎ"でワークライフバランスが保てていないと感じることはありますか?」という質問に対して、「あまりない」(36.6%)、「全くない」(28.2%)が過半数を占める一方で「時々ある」が26.1%、「頻繁にある」が9.1%と、合計で35.2%の若手社員が働きすぎを実感していることがわかりました。
"働きすぎ"のボーダーラインは「月20時間」
次に、"働きすぎ"と感じる1カ月あたりの残業時間については、「20〜30時間未満」(24.6%)が最多となり、次いで「30〜45時間未満」(23.2%)、「45時間以上」(19.7%)、「10~20時間未満」(18.3%)、「10時間未満」(14.1%)という結果となりました。
これらを合算すると、約7割が月20時間以上の残業で限界を感じているということになります。月20日勤務と仮定すると、1日あたりわずか1時間の残業を超えた水準です。
注目すべきは、約8割の若手社員が、法定の残業上限である「原則月45時間」を下回る水準で"働きすぎ"と感じている点です。つまり、若手社員の心理的な許容ラインは、従来想定されてきた「長時間労働」の基準よりも低い傾向にあると言えます。
残業時間だけじゃない。"働きすぎ"の要因は多岐にわたる
続いて、残業時間の長さ以外で"働きすぎ"と感じる要因を複数回答で尋ねたところ、「過度なマルチタスク(同時並行する案件が多すぎる)」と「休み(休日)が少ない」がともに51.4%と、半数以上が挙げる結果となりました。続いて、「適切な教育やサポートがない状態で責任が重い仕事を行う」が47.2%、「上司の顔色伺いや社内調整による気疲れ」が33.8%と続きました。
また、「今の職場で『これは本当に無駄だ』と感じている不満や改善案」を自由記述で聞いたところ、以下のようなコメントが寄せられました。
・全体朝礼とグループ朝礼で重複した内容や関係のない内容で時間を取られる
・改善しなければならないのに、結局は何もせずに問題を先送りにするような「会議」という名の「愚痴大会」
・上司も迷走しているよく分からない会議
・毎週月曜日の社長話がいらない
・朝礼での企業理念の唱和
・紙ベースの書類の回覧や、対面での会議
・調整不足で、複数の人が同じ業務をしてしまっている
・DX化が不十分のため、資料作成に手間がかかる
・上司に挨拶をしてから帰宅しなければならず、挨拶待ちの時間による残業が発生している
・お局のご機嫌取りして顔色を伺いながら働くこと
・年齢差別を感じる、シニア世代の意識改革をしてほしい
・新人社員の教育体制が整っていないまま、新人に業務に従事させる
・マニュアルが、初心者が理解できるように作られていない
これらのコメントからは、非効率な慣習や人間関係への疲弊、DX化の遅れなど、「時間」以外の要素が若手社員の心理的負担に直結していることが読み取れます。デジタルネイティブ世代にとって、時代遅れの職場慣習は特にストレスとなりやすいと言えるでしょう。
頑張れる条件は「対価・成長・感謝」
また、忙しくてもこれなら前向きに頑張れると思える状況を一つ選んでもらう質問では、「対価:仕事量や成果に見合った昇格・給与が期待できる」(43.0%)が最多でした。次いで、「成長:将来のキャリアに役に立つスキルが磨けている」(18.3%)、「感謝:上司や顧客から直接お礼を言われる」(16.2%)と続きました。
一方で、「どのような状況でも過度な忙しさは避けたい」は9.9%にとどまっており、若手社員が労働そのものを拒否しているわけではないことが示されています。
会社への期待は「人員補充」と「AI・ITツール活用」
最後に、会社に求める業務負荷を減らすために有効な取り組みとして、「人員補充による一人あたりの業務量分散」(40.1%)が最多でした。続いて「ITツールやAIの積極導入による単純作業の削減」(26.8%)、「上司のマネジメント能力向上」(12.7%)という結果となりました。
根本的な解決策である人員補充への期待が高い一方で、AI・ITツールの活用による業務効率化にも注目が集まっています。
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今回の調査では、20代正社員の"働きすぎ"の基準が、従来の「長時間労働」の枠組みでは捉えきれない実態が浮き彫りになりました。
労働時間の長さだけでなく、「非効率な業務慣習」や「人間関係の疲弊」、「成長実感の欠如」といった要素が、若手社員の心理的負担に大きく影響していることがわかります。
一方で、「適切な対価」や「成長機会」、「周囲からの感謝」があれば前向きに働けるという結果からは、若手社員が労働そのものを忌避しているわけではないことも示されています。企業や管理職には、単に残業時間を削減するだけでなく、小さな成長を見逃さずに称賛し、挑戦機会を適切に与える「成長を起点としたマネジメント」への転換が、今後ますます求められると言えるでしょう。
【出典】
株式会社ジェイック