「電話越しに、店長のあんなに弾んだ声を聞いたのは初めてでした…」
そう語るのは、R子さん(千葉県/20代・女性)。アルバイト先での“ある一言”が、忘れられない出来事になったといいます。
飲食バイト、想像以上にハードだった
「大学に入って初めて、飲食店でアルバイトを始めました。ワイワイ楽しそう、くらいの軽い気持ちだったんです」
─実際はどうでしたか?
「いやもう、全然“楽しそう”じゃなかったです(笑)。注文は飛ぶし、料理名は覚えられないし、キッチンに入れば動線がわからず右往左往。気づいたら『すみません』しか言ってない人になってました。しまいには、その日使う分のエビを全て床にぶちまけてしまったり…」
忙しい時間帯になると、周囲のスタッフはテキパキと動く中、自分だけがワンテンポどころかツーテンポ遅れる感覚。
「自分でもこれはまずいな…ってわかるくらいミスも多くて。店長にもスタッフにもフォローしてもらってばかりで、だいぶ手を焼かせていたと思います」
2カ月後、ついに決断
「2カ月続けたんですが、正直あまり成長してる実感もなくて。このまま居座るのも申し訳ないなって思って、退職を決めました」
─店長にはどのように伝えたんですか?
「直接言う勇気がなくて、電話で伝えました。『あの、すみません…辞めさせていただきたくて…』って」
すると、店長の反応は予想外のものだったといいます。
店長の声がパッと明るくなった瞬間
「一瞬だけ間があって、そのあと急に声が明るくなったんです。」
─明るく?
「はい。『そうか!辞めるか!オッケーオッケー!早速手続きしておくよ!』って、めちゃくちゃ元気に言われて(笑)」
─それは…なんとも言えないですね。
「そうなんです(笑)。引き止められるとは思ってなかったけど、そんなに喜ぶ!?って。電話を切ったあとにじわじわダメージがきました」
自分でも戦力になれていない自覚はあったものの、あまりにスムーズすぎる受理に、心がチクッとしたといいます。
「ああ、やっぱり扱いに困ってたんだな…って改めて実感して、ちょっと落ち込みました」
向き・不向きって、あるのかも
その後、R子さんは別のアルバイトにも挑戦。
「今は事務系のバイトをしてるんですが、こっちは不思議と普通にこなせていて。あのときのミス多発のゾーンに入った状態は何だったんだろうって思ってます(笑)」
仕事との相性は、やってみないとわからないもの。ちょっと苦い、でもどこか笑える—そんなアルバイトの思い出は、他にも寄せられています。
・洋菓子店で働くことが夢でした。高校生になり、早速近所の洋菓子店でアルバイトを始めましたが、仕事についていけず、接客もうまくできず、店の裏でずっと栗の渋皮を剥かされていました。理想と現実のギャップが切なすぎた。(東京都/40代・女性)
・ベルトコンベアで流れてくるお弁当におかずを均等に入れるというアルバイト。ついおしゃべりに夢中になり、量もまちまち、挙句入れないままいくつか飛ばして流してしまい、下流でチェックする役割の先輩に『これじゃ二度手間!!』と強めに叱られました。反省…(東京都/30代・男性)
・オンラインで小学生に勉強を教えるアルバイトをしていた時、おとなしい性格の子に当たった。緊張をほぐそうとおどけてみせたり冗談を言ってみたりしたが、そのたびに「ハハ…」と乾いた作り笑いが返ってきた。その後、保護者の方から『雑談はいらないので、勉強だけ教えてくれたらいいです』とやんわり言われ、個人に合わせて授業する難しさを痛感した。(長野県/20代・男性)
アルバイト先での苦い思い出は、誰にでも一つや二つは、思い当たるものがあるのではないでしょうか。そのときは落ち込むものですが、大切なのは、その場所が全てではないということ。合わない環境から離れてみるという判断も、ときには必要です。あのときの出来事があったからこそ、今の自分がある…そんなふうに思える日が、いつかきっと来るはずです。
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