「春の注意喚起です!野うさぎの赤ちゃんを拾わないでください」
そんな呼びかけがXで注目を集めています。
投稿したのは、うさぎのペットホテル「老うさホーム®︎うさこんち®︎」を運営する「うさこ母」さん(@usako_haha)。春になると畑や野原で見かけることのある子うさぎについて、「草むらに残されているのは野うさぎの子育て方法」と説明し、むやみに保護しないよう呼びかけました。
「野うさぎってそうなんですね」
「勉強になります」
「穴を掘って親子で暮らしてるのかと思っていました」
投稿には、驚きの声が寄せられています。
「捨てられた」と誤解され保護されるケースも
うさこ母さんがこの注意喚起を投稿したのには理由があります。
「私はうさぎのペットホテルを営んでいて、5年前に保護施設から受け入れた野うさぎがいます。もし人間に拾われなければ、野生の中で恋をして繁殖して幸せに暮らしていたのではないかと思うと気の毒で…」
こうした思いから、野うさぎの出産シーズンになる春には毎年、誤解による保護を防ぐため注意喚起を投稿しているといいます。
実際、うさこ母さんのもとには「子うさぎを保護したがどうすればいいか」という相談がたびたび寄せられるそうです。背景には、野うさぎとペットのうさぎ(アナウサギ)の違いがあまり知られていないことがあるといいます。
「野うさぎとイエウサギは、生態も遺伝子も違い、子育て方法もまったく別の属の動物です。しかしイメージで混同されてしまい、草むらに子うさぎがポツンといると“親とはぐれた”“捨てられた”と誤解されてしまうことが多いのです」
子うさぎは1日1回しか授乳しない
野うさぎの子育ては、人間の想像とは大きく違うといいます。
母うさぎは草むらに子どもを隠し、1日に1回程度しか授乳に来ないのが一般的です。
「親うさぎは目立つため、のんびり子どもの世話をしていると敵に居場所を教えることになります。そのため、急いで世話を済ませて離れている方が安全なのです」
うさぎは耳が良く、時速70キロほどで走ることができるため、危険を察知すると素早く逃げることができます。しかし子うさぎはそうはいきません。
「子どもを草むらに隠し、むしろ親が離れることで敵を引きつけることもあります」
草むらに1匹でも「正常」
では、畑や野原で子うさぎを見つけた場合、どう判断すればよいのでしょうか。
「子育て中の親うさぎは、人間が見つけられるような場所にはほとんどいません。草むらに隠れて生活しています」
そのため、子うさぎが1匹でいても必ずしも異常ではないといいます。
「見つけた子うさぎが生きていれば、お乳を飲めているということなので正常と考えてよいでしょう。そっとしておいてください」
人間の匂いがつくと育児放棄の可能性も
うさぎは嗅覚が非常に発達している動物です。
「人間の匂いがついてしまった子どもに対して、育児放棄する可能性はあります」
一方で、「人間の匂いがつくと母うさぎが噛み殺す」という説については、うさこ母さんは慎重な見方を示します。
「そこまで人間を憎んでいるわけではないと思います。ただ、匂いは重要な情報なので、触らない方がよいでしょう」
もしどうしても触らなければならない場合は、布手袋やタオルを使うなど直接触れない工夫をすすめています。
怪我をしている場合は役所に相談
では、外敵に襲われたり怪我をしている場合はどうすればよいのでしょうか。
野生動物は法律により基本的に飼育することができません。ただし、傷ついた場合は「自然復帰までの保護」が認められるケースもあります。
「怪我をしている場合は、役所の環境課や鳥獣保護課、保健所などに連絡して指示を仰いでください」
ただし子うさぎは非常に弱く、怪我や衰弱がある場合は助からないことも多いといいます。
「残酷なようですが、自然のことは自然に任せるという考え方も必要だと思います」
「触らない、拾わない」
最後に、うさこ母さんはこう呼びかけます。
「野生動物は飼育してはいけない法律がありますし、伝染病の可能性もあります。診てくれる動物病院も多くありません」
そして、最も大切なメッセージは…。
「『野原に置き去り!?』『捨てられた?』と思っても、それが野うさぎの正常な子育てです。触らない、拾わない。遠くから見守って自然に任せてあげてください」