客商売の閑散期はニッパチ(2月と8月)と言われており、ホストやキャバクラ、風俗店などが集まる歓楽街は2月がもっとも厳しい季節です。年末年始の華やかさとはどこへやら……と言わんばかりの静けさが訪れ、顧客を抱えていないキャストにとっては地獄でしょう。
この時期のお客さんはボーナスを使い切ってしまったり、年末年始の散財を戒めて財布のヒモが堅くなりやすいのが特徴です。年度末に向けて忙しく、お店に遊びに行く余裕がない=ヒマな日が増えるのも、この業界特有の閑散期の仕組みと言えます。
閑古鳥が鳴いても変わらず出勤を続けるキャストもいれば、潔く休んで旅行に行くなど過ごし方はさまざまです。2月の穏やかな時間をどう過ごすか、ナイトワーカーの日常を覗いてみましょう。
変わらず出勤!“石の上にも三年”を信じたい
ナイトワーカーが数字を作るにはまず、出勤の安定が必要です。出勤ペースと売り上げのブレはイコールで結ばれるため、コツコツと頑張るのが長期継続を図るコツです。
閑散期でもペースを落とさず、変わらぬ毎日を過ごすリサさん(仮名)は、飲み屋歴10年のベテランキャスト。閑散期と呼ばれる時期もいつも通り過ごすことで「数字を落とさずにいられる」のだそう(以下『』内、リサさん談)。
『私が夜職を始めた10年前に比べると、閑散期って呼ばれる月が増えたような気がします。ニッパチ以外も暇な日がありますし、2月はわかりやすく客足が落ちますね。でも、だからって当日欠勤したり、出勤を減らすとちょっとしたチャンスを逃してしまう。暇な時こそ頑張る、それが私のモットーです』
リサさん曰く、水商売は“石の上にも三年”。辛い時も、売り上げが伸びず苦しい時も地道に積み上げていくのが重要だと語りました。
『お客さんの数自体は少なくても、意外とこの時期に来るフラッとくるお客さんがアツかったりしますよ。ヒマでもめげないおかげで、2月だからといって売り上げがガクンと落ちることはここ数年ないですね』
閑散期の出勤は週1回!期間限定プレミア出勤になる夜職女子
一方でデリバリー式の風俗店に務めるレイコさん(仮名)は、先ほどのリサさんとは裏腹に、閑散期はほとんど出勤しません。シフトを週1日、多くて3日に留めて“期間限定・プレミア出勤嬢”へ変化を遂げるらしいのです。
なぜ閑散期だけこのような体制を取るか尋ねたところ「ヒマをするのが苦手だから、1回の出勤で予約を集中させたい」とのことでした(以下『』内、レイコさん談)。
『毎出勤ごとに予約ですぐ埋まる人気嬢じゃないから、指名が来ないと待ちぼうけしちゃう。風俗は閑散期が分かりやすいので、2月に入った途端ランカーじゃないと一気にヒマになる。無駄な時間は避けたいって気持ちから期間限定のプレミア出勤になり、1日に予約を集中させて効率をアップさせるやり方です』
それでも、予約がうまい具合に入らず苦戦する日もあるそう。出勤日は問い合わせが少なくても必ず出勤するレイコさんですが、あまりに店の電話が鳴らないと潔く帰宅コースを選びます(笑)
『本当はコツコツ頑張ったらいいんだろうけど、キャバと違って時給も出ないですからね!無駄を省くために、ヒマすぎたら帰る!夜職なんてこういうユルさが魅力的なんで、楽な部分を有効活用させてもらってます。もちろん、繁忙期は私も頑張りますよ。閑散期気を抜いて繁忙期はガッツリ出勤っていう、帳尻合わせみたいな……(笑)』
卒業旅行シーズンを避けて「今のうちに楽しみます」
2月も変わらず出勤、あるいは気を緩ませるナイトワーカーがいるなか、“中立的ポジション”のキャストさんにも出会いました。彼女の名前はマキナさん(仮名)。出勤しつつも1週間程度のお休みをもらって旅行へ行くのが、この時期の楽しみだと彼女は言いました(以下『』内、マキナさん談)。
『なんだかんだで1月も(お店が)混むから、少し肩の力が緩まるのが2月ですね。年末年始の疲れをリフレッシュすべく、毎年2月の2週目くらいに旅行へ行きます。去年は整形しに韓国行ったからもっと休んでましたけど(笑)基本、1週間くらいの休暇をもらうのが毎年の恒例って感じ』
卒業旅行シーズンの前だと飛行機代も安く、寒いエリアだとホテル代が下がるため、敢えてこの時期を狙って遠方へ行くナイトワーカーは結構多いのだとか。年末年始にきちんと出勤し、日頃から売り上げを立てていれば少しの休暇も許されるのが、夜職の良いところです。
『2月を休むために、年末年始頑張っているといっても過言ではないかも(笑)やっぱり出勤日数減っちゃうから、この月の収入はあまり期待しないですけどね。まぁその前後でババッと稼ぐから、結果的に給料は変わりませんよ』
2月の閑散期の過ごし方は他にもあり、「潔く丸々1カ月休む」というツワモノもいました。夜職の働き方は個人によって大きく異なり、“選択”ができるからこそ多様性が出る部分なのでしょうね。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや) 元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。
2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。