繁殖情報がほとんど出回っていない熱帯魚「タイワンキンギョ」で、突然の病気トラブルをきっかけに“自然繁殖から人工孵化へ強制的に切り替える”という想定外の挑戦をすることになった男性の体験談がYouTubeで注目を集めています。動画を投稿したのは、YouTubeチャンネル「ポン太アクア(@pontaaqua)」を運営する、アクアリウム系クリエイターのポン太さん。迎え入れてわずか3日で産卵、しかし直後に父魚が白点病を発症。約120個の卵を前に、知識も前例もほぼない状態で始まった“手探りの人工孵化”。その試行錯誤の末、稚魚が泳ぎ出すまでの記録動画は公開から約1カ月で13万回再生を記録しています。
今回ポン太さんが迎えたのは「タイワンキンギョ」。又の名を「パラダイスフィッシュ」と呼ばれる魚種で、青い体色とゼブラ模様が特徴の改良品種です。
「タイワンギョは昔から気になっていたのですが良い出会いがありませんでした。しかし、2025年10月ごろに大手アクアリウム通販サイトで偶然、コバルトブルーの体色にゼブラ模様が美しいタイワンキンギョの改良品種を見つけたんです。その体色が自分の好みにとても刺さったので購入を決めました」
「環境に慣れてくれたら…」という気持ちで迎え入れたというポン太さん。タイワンキンギョは繁殖情報が少なく、人工孵化の記録もほとんど見当たらない魚種だったため、繁殖については特に考えていなかったそう。しかし、購入からわずか3日で最初の産卵を確認することに―。
「これほど早い産卵は全く予想していませんでした!自分が用意した環境ですぐに繁殖したので、『安心してくれたんだ』と、とても嬉しく思いました。ただ、稚魚育成のための用品をほとんど準備していなくて…。急いでブラインシュリンプ(稚魚の生餌)や隔離ケースなどをネット通販で購入しました」
しかし産卵直後、順調に見えた繁殖に思わぬトラブルが起こります。オス親が白点病を発症し、隔離が必要になったのです。病気の原因について、ポン太さんは「気温が急激に下がったせいではないか」と推察します。
「本来、タイワンキンギョはオス親が卵に付着したカビや無精卵を取り除いたり、落ちた卵を拾うなどの世話をします。しかし、隔離によってそれらをできない状態になってしまうので、焦りを感じました」
やむなく、知識がほとんどない中で人工孵化へと切り替えることになったポン太さん。最も苦労したのが、エアーポンプなどの器具を使って水中に空気を送り込み、泡を出す「エアレーション管理」だったそう。
「エアレーションをどの程度の強さにすれば良いかが分からず、最初は弱めで管理していました。しかし、それだと半分以上の卵がカビて駄目になってしまい、落胆しながらそれを一つひとつスポイトで取り除くのが大変でしたね」
情報が少ない中での手探りの育成は、細かな調整の連続だったといいます。
「卵には酸素が必要ですが、強すぎると勢いで卵が損傷してしまうことが考えられるので、感覚で強さを調整するのが難しかったです。また水質悪化にはもちろんのこと、急な水質変化にも敏感なため、水換えをほんの少しずつ時間をかけて行うことに神経を使いました」
こうして苦労の末、約120個あった卵から無事に泳ぎ出した稚魚たちを見た瞬間は、まさに「感無量」だったそう。
「長らくアクアリウムをしてきましたが、自然繁殖以外で稚魚を育てた経験はなく、自分の世話によって卵が孵化したというのは感動でした」
現在、稚魚たちは順調に成長中。すでに親の特徴である青い体色やゼブラ模様も現れ始めているそうです。
「稚魚たちは産まれた当初から数十倍の大きさに成長し、青い色彩とゼブラ模様が出始めて、最高にワクワクするタイミングです。中には親と違った色彩や形態になる可能性を秘めている個体もあり、それも楽しみのひとつ。タイワンキンギョは美しい上に強健で、一般的な熱帯魚よりも簡素な設備でも飼えるのが魅力です。気になる方は、しっかり下調べや準備をした上で、お迎えしてみてはいかがでしょうか」