2017年8月12日、キジトラの女の子「茶(ちゃ)」さんは、突然、Xユーザー・MERRY and BRIGHTさん(@MERRYandBRIGHT)が営むカフェに、たったひとりやって来たといいます。小さな体で「ピャーピャー」と力強く鳴くその声に気づき、保護することができました。迷子になったのか、それとも捨てられてしまったのか…それは今も謎のまま。その日から新たな暮らしが始まったのです。
「猫、迎えたいな」 翌日、店先に“運命の子猫”が現れた
その日、ペット同伴で訪れることができるお店には、珍しく猫を連れたお客さんはいませんでした。ところが、どこからか猫のような鳴き声を耳にした飼い主さんは「あれ?」と耳を澄ませたといいます。
「しばらく経っても鳴き声が止まなかったので、お店の中や外を探し回りました。すると、店先に置いた看板に隠れるように1匹の子猫がうずくまっていたんです。それが、茶さんでした」
小さな茶さんは、とても怯えた様子で身を小さくしていました。もし鳴いてくれなかったなら、見つけることは難しかっただろうと飼い主さんは振り返ります。
「それまでお店の周辺で野良猫を見かけたことは一度もありませんでした。そばに親猫がいないか探しましたが見当たらず…さらに、警察に迷い猫の届け出が無いか、周辺で子猫を探している人はいないかも確認しましたが、手がかりになるような情報は無かったんです」
飼い主さんのお店がペットを連れて来られる場所だったのは幸いでした。早速、店内で保護し、さらに数日のあいだ、飼い主さんが現れないか待つことに。
「ふと数日前のことを思い出しました。お店で知人と談笑していたとき、『ご縁があったら猫を迎えようかな』と話したばかりだったんです。その翌日、現れたのが茶さんでした」
念のため、迷い猫を探している人がいないか、届出が無いかを確認しましたが、何の手がかりもありませんでした。
「当時、茶さんは生後推定2、3カ月。家族として迎え入れることを決めました」
生活が一変! ぴったりくっ付く甘えん坊に
猫をはじめ、動物を育てるための知識と経験があった飼い主さんは早速、茶さんを迎えるにあたって生活環境を整えることにしました。
「ケージやトイレ砂、ご飯などを買いそろえて、まずはお店の中に猫が落ち着ける狭くて静かなスペースを設けました。そのあと、茶さんと一緒に家へ帰り、寝床やご飯を食べるところ、トイレなどを用意。同じく、茶さんが安心感を得られるように、身を隠せる場所に置きました」
爪研ぎは平置きに。立てて使うと壁やカーテンなど垂直なところで爪を立てるクセがついてしまうからと飼い主さんは教えてくれました。そのおかげで、茶さんは現在に至るまで壁や家具に爪を立てたことはありません。
頼れる飼い主さんに見守られながら、茶さんは家での暮らしに慣れて、すくすくと成長してくれました。そして、超がつく甘えん坊になったといいます。
「家にいるときは、食事中も夜寝るときも、いつでもどこにでも後を付いて来るようになりました。私のことが見えなくなるところへは絶対に行きません。起きているあいだは、ずっと視界に茶さんが入っています(笑)」
飼い主さんのそばでよく食べ、よく眠り、元気いっぱい遊ぶ茶さん。日常を明るく照らす、かけがえのないパートナーとなったのです。
「一生守るからね」 二人三脚でこれからも
茶さんは、現在推定8歳半を迎えました。甘えん坊なところは今も変わりません。
「とてもビビリです。雷や大きな音、知らない人の声、玄関のチャイムなどを怖がってすぐに隠れてしまいます。ところが、テレビの音は怖くないようです」
もう外で過ごしていたときのことは覚えていない茶さん。今は外に出ることが何より苦手になったといいます。
「動物病院に行くのもひと苦労。健康診断を受けに行こうにも逃げ回ってなすすべもなく、やむなく予約を変更したこともあります」
さらに、茶さんは驚くほどの大食漢。飼い主さんが寝坊すると、朝ご飯の時間に起こしに来るほどです。
「ご飯のためなら、お手・おかわり・待て…何でもやります。もしかしたら外にいたとき、お腹を空かせて長らく耐えていたこともあったのではないだろうかと思うと、いたたまれなくなることもありますね」
出会ったあの日、あれほど大きな声で鳴いていたのは、母猫を探していたからではないかと考えることがあるという飼い主さん。「とても愛おしく、大切にしようと心に誓いました」と語っています。
「茶さんは、『猫を迎えたい』という私の願いを叶えてくれました。私の生活パターンに合わせて過ごしてくれているなと感じることもあります。今度は、私がこの子の願いを叶えてあげたい。やりたいことや過ごしたい時間に寄り添ってあげたいです」
飼い主さんは、出会ったときから今まで、「茶さんのことを一生守る」と心に誓って暮らしています。今、改めて茶さんに伝えたいメッセージを送ってくれました。
「茶さんがそばにいてくれるだけで生きがいになり、癒やされ、報われています。一緒にいてくれて本当にありがとう」