昨年の夏、三毛猫の女の子「みこ」ちゃんは、たったひとり車のボンネットに身を隠し、「ニャアニャア」と必死に助けを求めていました。「子猫の鳴き声がする」と気づいた人たちが次々と車のまわりに集まり、どうしたものかと考えあぐねているそのとき…車の持ち主・Xユーザー、方原 刺繍屋かたはらさん(@Katahara_BloomS)の叔母が買い物を終えて戻ってきました。自分の車に人だかりができているのを目にして、とても驚いたといいます。そうして、子猫の救出劇が始まったのです。
一体、何ごと!? 車にできた人だかり
2024年7月28日。のちの飼い主さんの叔母は車で買い物へ出かけました。駐車場に車を停めてお店へ向かっていた、そのわずかなあいだに、思いもよらぬ事態が起こったのです。
「叔母が駐車場に戻ると、自分の車がたくさんの人に囲まれているのが見えたそうです。驚いて駆け寄ると『子猫の鳴き声が聞こえるんです』と言われました。どうやらボンネットに入り込んでしまった様子。懸命に声をかけると、一度は出てきてくれたのですが、たくさん人がいることにびっくりして、さらに奥へ隠れてしまいました」
よほど怖かったのか、子猫はおよそ人間の手が届かないほど奥まった場所へ逃げてしまったといいます。
「その場に居合わせた人たちは、おやつやおもちゃを買ってきて、子猫を誘い出そうと奮闘してくださって、ようやく子猫を保護することができました。それが、みこです」
叔母はみこちゃんを連れて帰ることに。保護に協力してくれた人たちからは「どうなったか知りたいのでLINE交換してください」「私も!」と声がかかり、近況を報告することになりました。
たくさんの人の善意によって、みこちゃんの命が救われた瞬間でした。
目を合わせた瞬間、よみがえった記憶
当時、飼い主さんは2匹の先住猫と暮らしていました。叔母から送られてきたみこちゃんの写真、そして保護の経緯を知り、お迎えすることを決めたといいます。
「翌日、叔母の家へみこを迎えにいきました。写真で見るよりもずっとかわいいなと思ったのを覚えています。ご飯を食べさせて膝の上にのせると、眠くなったのかうとうとしながら、私のことを見上げたんです。その表情は『この人は信用していいのかな』と考えているようにも見えました」
飼い主さんはその瞬間、過去の出来事を思い出しました。まだ小さかった先住猫を保護したときも、同じように膝の上から見上げてきたといいます。その先住猫は今も家族の一員として穏やかな暮らしを送っています。
こうしてみこちゃんは飼い主さんと一緒に“ずっとのおうち”へ。新たな猫生の一歩を歩み始めました。
みこちゃんのお顔に驚きの変化がーー
お迎え当初、みこちゃんは目を細め、頬もほっそりとして不安げな表情をしていました。ところが、2日ほど過ぎた頃、飼い主さんは驚きの変化を目にします。
「みこの顔つきがガラッと変わったことに気づいたんです。吊り目はまん丸で、ややたれ目に。お顔もふっくらしました。そんなに変わる!? と驚いたのを覚えています」
家での暮らしに慣れるにつれ、お転婆な一面も見せるようになりました。
「元気すぎる! というくらい元気いっぱい。隙間があるとすぐに入ろうとするので、家中の隙間をふさぐのに奔走しました」
こうしてみこちゃんは日々すくすくと成長していったといいます。
「毎日、ごはんをいっぱい食べて、お腹を丸出しにしてすやすや…よく眠っていました」
お店の“招き猫”になったみこちゃん
みこちゃんは現在、推定1歳。お茶目で元気いっぱい、お転婆なところも小さかった頃のままです。
「とにかく感情が豊かで、すぐ顔に出ます。私がくしゃみをすると絶対に文句を言われるんです。たまに『ぷ』『ぴゃん』と鳴かれることもあるので、もしかして合いの手を入れているのかもしれません。表情がころころ変わるので、とても楽しい子です」
飼い主さんのXは1.1万人のフォロワーを抱える人気アカウント。ウェブショップのお知らせを中心に、みこちゃんの日常ショットも投稿しています。
「みこの愛らしさ、そして面白さがお店にたくさんのお客さんを招いてくれています。本当の“招き猫”ですね」
みこちゃんとの出会いを振り返り、飼い主さんにはひとつ、多くの人に知ってもらいたいことがあるといいます。それは「猫バンバン」。
猫は暖かく狭い場所を好む習性があることから、車のエンジンルームは絶好の隠れ家になります。しかし車内に猫がいることに気づかずエンジンをかけてしまうと、大けがを負ったり、最悪の場合は命を落とす危険も。また、車の故障だけでなく、運転中の事故につながる可能性もあります。車のエンジンをかける前に、ボンネットや車体を軽くたたくことで、こうした不幸なトラブルを減らせることを願っています。
今、あの小さかったみこちゃんは、優しい飼い主さん、そして先住猫に見守られながら、にぎやかで楽しい日々を過ごしています。「うちに来てくれてありがとう」。飼い主さんはそう語ります。これからも、たくさんの笑顔をもたらしてくれることでしょう。
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