2016年のある日、X・ユーザーのまめたろさん(@kuromametaro620)が車で移動中、車道の真ん中に小さな猫がうずくまっているのを見つけました。
「このままだと轢かれてしまうと思って、車を止めて近づいたんです。そしたら、口から血を垂らし、左前足を引きずっていました。きっと車に轢かれたんだと思います」
それでもその子猫は「シャー!」と威嚇しながら、よろよろと逃げようとしていたといいます。
「こんな状態でこのまま放っておけば、死んでしまうと思いました。怖い思いをした分、幸せにしてあげたいと強く思ったのを覚えています」
生後わずか2、3カ月ほどだった小さな命は「肉球黒豆太郎」くんと名付けられました。普段は「まめたろ」くんという愛称で呼ばれ、新たな猫生を歩み始めたのです。
預かり期間から始まった“試練の子猫時代”
保護当時、飼い主さんは忙しく、すぐにお世話することが難しかったため、猫と暮らしている姉に1カ月預かってもらうことになりました。
「猫2匹と暮らす姉にお世話してもらいました。その後、我が家にお迎えしましたが、まったく怯えずに家の中を探索。左前足は失ってしまいましたが、とても元気なチビッコでした」
顎の怪我はひどく、ワイヤで固定する手術が必要でした。獣医からは、顎の状態からして「頭に上からの衝撃が加わった可能性がある」と伝えられたといいます。
「頭を打っていたため、保護から数日間はもしかしたら急変するのではないかと心配でした。また、片方の前足がないことで体のバランスを崩しやすく、うんちをよく踏んでしまって、家のいろんなところにうんちがついていたことも。それでも、すくすくと元気に成長してくれました」
2匹の先住猫を老衰で見送ってから2年。再び猫と過ごす日々は、飼い主さんの心にそっと温かな光を灯してくれる出来事となりました。
「久しぶりの子猫がかわいくて仕方なかったです。当時、息子は幼稚園の年中さんでまだ手のかかる年齢でしたが、ふと見ると一緒にお昼寝していたり、じゃれあったりと兄弟のようで微笑ましかったです」
かわいいだけではない、猫の賢さを実感する日々
まめたろくんは、現在9歳を迎えました。
「朝一番に私のところへ来て抱っこをねだるのが毎日の始まりです。かわいくて、甘やかしてしまいます」
登校する小学生たちを見送るのも日課になっており、少しずつ落ち着いた時間を静かに過ごすようになってきたそうです。
「おっとりしていて、甘えん坊。でも慎重で、ツンデレな面もあります。ご飯のときはお皿の前に無言で座って、何分でもじっとこっちを見てきます」
撫でても、抱っこしても、猫吸いしても怒ることはなく、猫パンチをされたことはないと語る飼い主さん。ところが、息子さんに対しては少し違っていた時期もあったそうです。
「息子にだけは猫パンチをしていました。たぶん自分より下だと思っていたんだと思います。最近は息子の身長が大人と変わらないくらいになったので、ちょっと考えを改めて対等に扱っているようです」
また、男性の来客は苦手。サッと逃げて隠れてしまい、肉球が汗でびっしょりになることもあるといいます。
そんなまめたろくんですが、同じ猫に対しては意外な一面を見せるようでーー
「昨年、保護した新入り猫『チョロすけ』に対しては厳しいですね。私の枕の隣がまめたろの定位置なんですが、チョロすけが近づいただけで『シャー!』と威嚇します。おっとりしていると思っていましたが、猫には容赦ないようです」
そして最後に、飼い主さんはこう語ります。
「猫と一緒に暮らして感じるのは、『猫はかわいい。かわいいだけではなく賢い』。先住猫2匹が虹の橋を渡り、『もう猫と暮らすことはない』と思っていたけれど、突然、目の前に現れたまめたろ。小さな命を救うことができて本当に良かったーーこれからものんびりマイペースに、長生きしてほしいです」