ブラジル発祥のビーチスポーツ「フレスコボール」の国際大会(12月6、7日・リオデジャネイロ)に、日本代表として岡山市南区妹尾の自営業井上和明さん(54)が出場する。3年前に競技を始めて以来、ペアとして二人三脚で戦ってきた弟が今夏、病気で急逝。悲しみを乗り越えて立つ初の大舞台に「弟の思いも背負って臨む」と意気込んでいる。
フレスコボールは、ペアで出場する競技で、チームの2人が7メートル以上離れた位置からラケットでゴム製ボールを落とさずに打ち合う。制限時間内のラリー回数やテクニックなどで採点されるポイントを競う。
井上さんが出場する国際大会は「ブラジル選手権」。大阪市の知人男性と50歳以上男子の部でペアを組み、ジャパンオープン(9月・兵庫県明石市)など三つの大会の合計得点で決める選考で最高得点を獲得し、日本代表に初めて選ばれた。
競技を始めたのは2022年9月。今年7月に48歳で亡くなった実弟の池田英明さんに誘われたことがきっかけだった。池田さんとは年齢制限のない一般男子の部でペアを組んでおり、結成2年後の24年11月には日本フレスコボール協会(東京)主催の全国大会で優勝するなど好成績を収めてきた。
亡くなる直前まで一緒に練習し、元気だったという池田さん。体調の異変を感じて入院し、急性白血病でわずか3日後に帰らぬ人となった。突然の不幸にぼうぜん自失となったが、プレーを通じ競技の魅力を広めたいという弟の遺志を引き継ぎ、競技を続ける道を選んだ。
国際大会への出場は2人の目標でもあった。当日は池田さんの写真も会場に持参し、世界の舞台をともに味わうつもりだ。井上さんは「2人の夢をかなえられ、ほっとしている。大会では自己ベスト更新を目指し、力を出し切りたい」と話している。