自分の才能は自分では分からないことが多いです。そして、思わぬところで開花するのかもしれません。山本アリフレッドさんの作品『理系が恋に落ちたので証明してみた。』の抜粋エピソード『番外編 理系うさぎとかめ』は、童話うさぎとかめをモチーフにしたユニークな物語です。同作はX(旧Twitter)に公開されると、約1.7万ものいいねを集め注目されました。
むかしむかしあるところに、足の遅いかめがいました。かめはいつも周りにバカにされてましたが、ある日うさぎにかけっこを挑むことにします。かめはうさぎに頼み、スタート地点にハンデをもらいました。
かめは『ゼノンのパラドックス』の法則を使えば勝てると思っていました。ゼノンのパラドクスとは競争に例えると、追いかける人が先行している人に追いつく頃には、先行している人がもっと先に行ってしまっており、追いかける人は先行している人に追いつけないという考え方です。
しかし実際かけっこが始まるとあっという間にうさぎに追い抜かされてしまいます。なぜ抜かれてしまったのか、それはゼノンのパラドックスは『かめがうさぎに追いつくまでの時間を無限』と考えられているからです。
ただ現実の時間は有限のため、かめの考える理論は成り立たないのでした。その後かめはうさぎから『トリチェリのトランペット』など、数学における無限について興味津々に聞きはじめます。
それから数学の面白さに目覚めたかめは、たくさん勉強を重ねて良い大学に入学できました。一方でかめをバカにしていたくまやきつねはだらだらと過ごし、やがて勉学について行けなくなってしまいます。
やがてくまやきつねは毎日サボってパチンコを打ったり、引きこもって1日中ネットで誹謗中傷を繰り返したりするようになってしまいました。サラリーマンとなったかめは、「社会に出れば足の速さなんて誰も評価してくれない」と気付いたのです。
かめは数学の面白さに気付かせてくれたうさぎにいつか会えることを願いつつ、今日も社会の片隅で働き続けています。
同作に対してSNS上では「足の速さって小学生のときしかステータスじゃないよね」「最後のかめの服装はどうなってるんだ…」など、さまざまな方面からの反響があがっています。そこで作者の山本アリフレッドさんに、同作について話を聞きました。
童話ネタがもうありません…!
―数学と童話『うさぎとかめ』を合わせようと考えたのは?
『理系が恋に落ちたので証明してみた。』では理系ネタと童話や怖い話を合体させるシリーズを展開しており、その一環です。理系シンデレラとか理系かぐや姫とか20作品くらいやっており、もうネタがありません。助けて下さい。
―同作に出てくるうさぎさんと、本編『理系が恋に落ちたので証明してみた。』登場キャラクターとは何か関係があるのでしょうか。
真実は誰にも分かりません。そもそも真実とは何でしょうか?誰にとっての真実なのでしょう?真実はいつも1つではなく(以下略)
―読者へメッセージを。
こういう感じの理系童話シリーズがもう20個ぐらいある「理系が恋に落ちたので証明してみた。」が19巻まで発売中です。巻数がちょっと長すぎますが、興味のある方は騙されたと思って、1巻だけでも是非どうぞ。
<山本アリフレッドさん関連情報>
▽同作のX(旧Twitter)での投稿『理系うさぎとかめ』はこちら
https://x.com/man_Arihred/status/1983839509491150959
▽理系が恋に落ちたので証明してみた。/COMICメテオ
https://kirapo.jp/meteor/titles/rikekoi
▽力技のシスター/COMICメテオ
https://kirapo.jp/meteor/titles/chikarawaza
▽pixiv
https://www.pixiv.net/users/468068