「ツキノワグマ」「ヒグマ」に共通する行動として、熊が「威嚇」をしているのは驚いたり怖がっている時で、おどけた様子で立ち上がったり、ぬいぐるみのように座ったり友好的な時こそ危険だ、という説がネット上で話題だ。
今から10年前、母の湯治療養の宿泊地として秋田県にある無料のキャンプ場に立ち寄った、すらたま(@kei_nagato)さん。
偶然居合わせた1人のキャンパーの無知な行動が原因で、すらたまさんたちはこの「説」を実感する恐ろしい体験をしたという。
「熊の様子がおかしい…」
「2015年の5月に、母の湯治を目的に玉川温泉に通うためにキャンプ場に滞在してたんですが、先にキャンプをしてた方の1人が、『熊が出たけど、今回の熊は怖くないからお肉あげたら喜んでくわえて行った』って言ってたんですよね。
翌日の夜、BBQをやってた時に現れた熊は、1人が不用意に投げた肉に興味を示さず、みんなが囲んでた焚き火に向かって歩いて来たんです。
山での経験が豊富だと語ってた方が『様子がおかしい』と言い出し、その人の指示で、熊を刺激しないようにみんなそれぞれの車内に隠れ、テント泊の人もテントではなく車の運転席に後退してました。
「いちばん美味しいエサ」は「動く人間」
美味しそうな匂いが漂う焚火台を無視して熊が向かったのは、前日にも餌を投げた人が逃げ込んだハイエース。
僕はビビって自分の車に隠れてましたが、エンジンを掛けてヘッドライトで照らして熊を追い返した人がいたから、当時の被害は屋根に両手をかけられたハイエース1台だけだったんですが、僕にはその英雄も一歩間違えば蛮勇に見えたくらいです。場所は宝仙湖と玉川温泉の間あたりでした。
その時、猟友会の方から聞いたのが、『野生の熊が人から餌をもらう、奪う、盗むということがあった時、熊にとって人間はエサの一部と認識される。動いているのが熊にとっていちばん美味しいとこだから人間が襲われる』っていうものでした」
<すらたまさんのX(旧Twitter)の投稿より>
人間をエサと認識する「かわいいクマちゃん」
キャンプ場に出没したツキノワグマは1頭。威嚇する様子はなく、むしろ友好的で可愛く見えたため、山に詳しい方が「様子がおかしい」と言うまで全員が油断をしていたという。
「ぶっちゃけこの時逃げろって言う人がいなかったら、熊かわいいって思って全員死んでたんだろうなって思いますね。地面に座ってこっち眺めたりしてかわいいアピールしてましたね」
<すらたまさんのXの投稿より>
すぐに車内に退避し始めたものの、「余命短かった母の動きが遅くて、車内に逃げ込むまでの時間がホラー映画並の恐怖でした」と、Xに投稿していたすらたまさん。
携帯電話は圏外で繋がらず、熊の様子がおかしいことに気づいた方が翌朝早く、電波の届く場所まで車で移動し警察に通報してくれたそうだ。
10年前のことを鮮明に覚えている理由を尋ねるリプライに、「母の最期を看取る旅だったので、克明に日記をつけてました」と、返信していたすらたまさん。
実は当時もこの体験談をツイートしたそうだが、今ほど熊の出没や被害に世間の関心がなかったせいか、「餌付け」の危険性などについて理解できる人が少なく、投稿を削除してしまったという。
「熊の写真がないから創作だとまで言われましたが、近距離で野生動物に見つめられながら写真を撮れる余裕がある人、どれだけおるんよ」
<すらたまさんのXの投稿より>