装甲車やタクシー、バイク、ヘリコプター…。たけべの森公園(岡山市北区建部町田地子)に並ぶさまざまな手作り木製遊具が子どもたちに好評だ。公園管理事務所長の安藤傑文さん(49)が一人で制作した。自由に乗り込み遊ぶ子どもたちの様子に安藤さんは「よりリアルに再現し、親子で楽しめるものにしていきたい」と話している。
「わあ、このドア開く!」。8月下旬、公園管理事務所前に置かれた装甲車(長さ約2メートル、高さ約1メートル)上部のハッチを開き、プール帰りの子どもたちが顔を出す。据え付けられた銃を構えたり運転席でハンドルを握ったり。横に並ぶタクシーは本物同様に後部ドアを開けられる仕組みに目を輝かせた。
遊具制作のきっかけは「公園なのに何もない」という厳しいアンケートの回答だった。遊具をそろえるにも資金が潤沢でなかったため、手作りすることにし、2019年から独学で始めた。
第1号は端材を箱状に組んだバス。その後もフックを巻き上げることができるクレーン車、リフト部分が昇降するフォークリフト、プロペラが回るヘリコプター…とこつこつ増やしてきた。合板をベース素材に一輪車のタイヤや水道パイプで車の機構を表現、中華鍋をパラボラアンテナに加工するなどアイデアを形にしていった。
乗り物に平行して「ごっこ遊び」ができる「なりきり商店街」シリーズにも挑戦。交番や病院、居酒屋、ラーメン屋といった高さ約2メートル、幅約1・8メートルの〝店舗〟を10店以上作り並べている。
23年にはバラエティー番組「ナニコレ珍百景」で全国放映された。自慢のベスト3を紹介し知名度を高めた。その後も県内外のテレビ、ネットメディアで紹介される機会が増えたという。
最新作は今年6月に完成させた、漫画「北斗の拳」に登場する大型バイク。前後に分割した自転車を骨組みに使い、背もたれの大きなトゲ状の飾りに丸みを付けるなど細部までこだわった自信作だ。
安藤さんは「『新作が楽しみ』という声を聞くようになった。来園者が驚き夢中で遊んでくれる遊具を作っていきたい」。遊び心と創作意欲は尽きない。