大阪を代表する和菓子、「青木松風庵」の「月化粧」。ミルクの風味が香る白あんが特徴的で、多くの人に愛されている銘菓です。今回はそんな「月化粧」の誕生秘話に迫ります!
老舗和菓子店から両親と共に独立
今回お話を伺うのは、「月化粧」を製造し、阪南市に本社を持つ「青木松風庵」の2代目社長の青木一郎さん。現在では年間約1800万個も売れている「月化粧」。大体の人が子どもの頃からあると思っているそうですが、実は一郎さんの父、啓一さんにより2010年5月21日に誕生した、まだ新しいお菓子なのです。
1984年、啓一さんは祖父が田尻町で営む小さな和菓子店で妻のまゆみさんとともに働いていました。しかし、旧態依然とした和菓子店では「多くの人にお菓子を売りたくても実現できない」と考え、両親と共に独立することに。大阪・岬町に「青木松風庵」を開店しました。
先見性があった啓一さん。「このままでは将来行き詰まってしまう、子ども達のためにも自分が独立してイチからやるしかない」と考えたそうです。
両親と妻のまゆみさんとともに開業した「青木松風庵」。当時から現在までこだわり続けているのは、豆から作り出す自家製餡。餡作りは手間がかかるため、自ら製造している和菓子店は業界でも1割程度と言われています。そんな中でも啓一さんは「和菓子は楽した分だけ味が落ちる。自家製餡は店の命」と、その手作りの味をずっと大切にしてきたと言います。
最初のヒット商品は「いちご大福」
創業から2年、同じ和菓子業界の経営者から「東京でいちご大福が流行っている」と聞いた啓一さん。「苺に粒餡の組み合わせは、関西人にはどう考えても甘すぎるのではないか」と思い、それを関西風にアレンジすることを試みます。
そこで思いついた素材が白あん。柔らかい求肥とジューシーな苺にしつこくない自家製の白あんが絶妙にマッチし、関西人好みのいちご大福が誕生しました。
さらに、他とは違うことをアピールするために「おしゃれ」と命名して発売したところ、予想以上の大ヒット。大阪の有名和菓子店に仲間入りを果たします。
この成功から啓一さんは大阪を代表するお土産を作りたいと考えるようになりました。