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「黒い飲み物を飲みたい」保育園児VS全力で阻止する保育士 短編映画製作する監督の狙いは

山陽新聞社 山陽新聞社

 〈大人は秘密を隠している〉〈私たちがお昼寝をしている間、先生があの黒い飲み物を飲んでいるのを知っている〉

 保育園で園児と保育士がコーヒーを巡って争いを繰り広げるー。そんなユニークなストーリーの短編映画の製作が進んでいる。テーマは人間の「欲望」と「葛藤」で、メガホンを取るのは保育士でもある大西貴也監督(38)=岡山市。今秋の完成を予定しており「コーヒーは欲望のメタファー(隠喩)。当たり前のルールや考え方をぶち壊す爽快さが感じられる作品にしたい」と話す。

 昼寝の時間、先生が黒い飲み物(コーヒー)を飲んでいるのに気付いた園児たち。飲みたいという強い欲望を満たすため、綿密な計画を立てて実行に移していく。コーヒーは子どもが飲むものではないーと考える保育士は全力で阻止する。

 大西監督が勤める保育園で、さみしそうに迎えを待つ最後の園児を見たのが企画のきっかけ。「慣例やルールに縛られた世の中で、特に子どもたちは大人の事情でどうにもできないことがある。せめて映画の中だけでもわだかまりを取り除きたい」と製作を決めた。

 子どもから大人まで楽しめる作品として、アクションシーンなども随所に織り交ぜる。タイトルは「Coffee Break」で、「休憩」と「常識を打ち壊す」という二つの意味を持たせた。

 キャストはエキストラを含めて約30人。大西監督の教え子たちが園児役となり、カナダで活動する俳優三宅エリナさん(33)=岡山市出身=が担任の保育士役を演じる。スタッフはプロのほか、岡山県内の大学や専門学校で映像制作を学ぶ学生も携わる。

 撮影は3~5月にかけて、岡山市内の保育園で行った。4月下旬にあった終盤シーンの収録では、大西監督が出演者の体の動きや立ち位置を確認しながら「せりふの間合いを大切に」「表情をもっと意識して」と伝えていた。三宅さんは「子どもたちと演技をするのが新鮮で、自分も勉強になる。見た人の心を動かせる作品になれば」と話した。

 今秋の完成を目指しており、無料の上映会を11月5~14日、足守プラザ(同市北区足守)で開く計画。一般公開は来年以降という。

 「世界に通用するクオリティーに仕上げ、国内外の映画祭で入賞を目指す」と力を込める大西監督。「常識に縛られ、日々もどかしさを感じている人たちの救いになるような作品になれば」としている。

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