「供血犬シロ」の不幸を繰り返さないために
烈くんの飼い主さんの心を動かした「供血犬シロ」とは、8年以上もの間、動物病院内の劣悪な地下室で、患畜犬に血液を提供するためだけに飼育をされていた犬だ。
「献血犬ドナー」に登録する犬がいなければ、暗い地下室の檻の中で汚物にまみれ、「供血」のためだけに生かされていた「供血犬シロ」のような不幸な犬が必要となってしまう。
「正直なところ、登録はとても迷いました。私が献血するわけじゃないのですから、烈の意思はどうなのだろう?と。この時ほど、愛犬と会話ができたらいいのにと思ったことはありません。ですが、烈には申し訳ないけれど、烈の血があれば救える命があるかもしれない……その思いが強くなり登録に至りました」(烈くんの飼い主さん)
「献血する犬」はかわいそう?
烈くんの「献血犬ドナー登録」に対しては、ごく少数だが、「かわいそう」「人間のエゴ」といった否定的な声も寄せられたという。
「否定の声というのは、ドナー犬の安全性を考えてのことと推察しています。お気持ちはとてもありがたいのですが、烈が献血しなければ助からない命もあります。そもそも献血は、獣医さんが犬の体調や体重にあった安全な量の採血を行い、採血後も点滴を行うなど、体調変化の観察などの配慮がありますので、リスクはほぼありません。
また、ドナー登録や献血の際には、『輸血』に適するかどうかを調べるため、血液検査や身体検査などの健康診断が受けられるので、愛犬の健康状態を定期的に把握できます。もちろんその際の費用は無料です。烈のかかりつけ医の場合、献血をすると予防接種かフィラリア予防薬のどちらかが無料になります。各病院により異なると思いますが、おそらく何らかの特典があると思います」(烈くんの飼い主さん)
登録の条件は、飼い主がしっかり飼育管理している「健康な犬」
各動物病院や獣医師により詳細は異なるが、「献血犬ドナー登録」は、飼い主がしっかりと飼育管理をしている「健康な犬」であることが主な条件となる。烈くんのかかりつけの病院の場合は以下の通りだ。
①年齢:1歳以上、8歳以下
②体重:15キロ以上
③健康状態:感染症や慢性疾患がなく、投薬中でないこと
④予防接種:狂犬病、混合ワクチン、フィラリア予防が済んでいること
⑤過去に輸血を受けていないこと
⑥妊娠経験がないこと
⑦温和でおとなしい性格であること(※健康診断や採血時の安全のため)
◼︎烈くんのYouTubeチャンネル「れつれつゴールデンレトリバー」