人口減と高齢化が進む京都府北部で近年、美容皮膚科を診療科目として掲げる医院のオープンが相次いだ。メインの受診者層は40代以上の中高年で、全額自費診療となる保険外の治療が大半だが、受診者が多く予約が取りづらい医院もある。高まる美容ニーズの一端を探った。
府北部で美容皮膚科は6医院。2021年に京丹後市峰山町、24年4月に福知山市駅前町、8月に宮津市波路で新たに開院した。
宮津市の「はまだクリニック」は主とする内科・消化器内科が休診の日・月曜と祝日の午後を美容皮膚科の診療に充てる。表情じわ改善の「ボトックス」と、表情の若返りを図る「ヒアルロン酸注入」が人気だという。
特に、アンチエイジングに関心の高い40代以上の女性に、両治療やしみ取りのニーズが高い。京阪神まで治療に出向いていた人たちが地元で受診、人づてに聞いて来院する例もあると言い、濵田暁彦院長(50)は「少しずつ需要は高まっている」と話す。
医師の側からすると、現時点で府北部の美容皮膚科が少ない半面、美容医療の認知度が高まり、緊急を要する往診や夜勤が無いことから「特に若手女性医師を中心に、専門診療科に選ばれやすいのではないか」(府北部の皮膚科医の一人)という。
全国的に、美容に関する医療機関は急増している。
美容皮膚科に限った統計は無いが、皮膚科全体は厚生労働省の23年調査で全国1万3185施設あり、20年の前回調査から6%増えた。増加分の多くが美容関係とみられる。美容整形手術を行える美容外科は同じ調査期間で44%も増えた。
ただ、美容医療の増加に伴ってトラブルも全国的に増えており、受診者は、ニーズに合う施術かどうかなどを見極める必要がある。
国民生活センターによると美容医療のトラブル相談は23年度に6264件。府消費生活安全センターによると府全体では23年度96件でコロナ禍前19年度の4倍以上となった。府北部5市2町からの相談件数は直近5年間、年に0~6件と少ないが、同センターは、受診先選びに際してウェブサイトの情報などだけで判断せず、自ら積極的に情報を収集することや、施術の同意書などをよく確認し、内容を理解し納得できるまで、医師から説明を受けることを呼びかけている。