大雪の日、とある大学の構内に突如現れた雪の「涅槃像」。そのクオリティーが高すぎると、Xで話題になっています。「遊び心と技術を感じる」「単に上手いだけじゃなくて、ベンチで横になってるセンスが最高!」といった声が寄せられ、集まったいいねは11万件。像を作った大学生の濱里さん(@ne_ne_wood)にお話を聞きました。
彫刻専攻の学生による本気の「雪遊び」
濱里さんは、京都伝統工芸大学校に通う仏像彫刻専攻の学生です。
1月9、10日にかけて日本列島を襲った強い寒波の影響で、京都でも雪が積もりました。午後の授業が休校になった濱里さん。同じ専攻の友人同士で雪遊びをしている途中で、ベンチを土台に“制作”を始めました。実は濱里さんの地元は北海道で、雪で阿弥陀如来坐像を作ったこともあるそう。今回も何か作ってみようと思い立ったといいます。
モデルは福岡県の南蔵院にある涅槃像、とのこと。大まかに雪を盛りつけて粘土ベラで「あたり」をつけ、顔の造形から取り掛かりました。「最初は全身は無理だろうと思っていましたが…」。
同級生が雪を盛るのを手伝ってくれたり、体の布の造形をいつの間にか後輩が仕上げてくれたりと作業はスムーズに進行。螺髪(髪の毛)を丸めてくっ付ける大変な作業も、皆が手伝ってくれました。結局、2時間半から3時間ほどかけて完成させました。
完成度について、自分が手がけた顔の部分については納得がいかないそうで「本物とは似ても似つかぬ何とも言えない顔立ちになってしまい、自身の未熟さを痛感しました」と謙虚な感想。
なおXでは、仏像彫刻を専門に学ぶ学生ならではの技術と遊び心が好評を博しました。こういった反響について、濱里さんは「みんな仏像が大好きなんだなぁと、仏様のお力をお借りしたなと感謝の気持ちでいっぱいです」と話しています。
「この雪の仏さまのように…」
ちなみに濱里さんの出身高校は、北海道北部の音威子府(おといねっぷ)村にある「おといねっぷ美術工芸学校」という、木工を学べる高校。そこで木彫りの奥深さに魅了され、現在の進路を選びました。
目標は「売れっ子木彫り作家になること」だそうで「日本の伝統工芸を未来に伝えていく人間にもなりたい」と意気込みます。「これからも、この雪の仏さまのように身近な人を笑顔にできるような作品を作り続けたいと思っています」と話しています。濱里さんの作品はインスタグラム(@aya_ne_budd)などで見ることができます。