高校3年生・18歳といえば、そろそろ親の手を離れて自立に向かう準備をする時期。それなのに、あたり強めな態度を見せる息子にある母親が悩んでいます。思春期なのか反抗期なのか…受験のストレスもあり、難しい時期のようです。
Jさん(東京都・40代)には大学受験を目前にした高3の息子がいます。父親は5年前から単身で海外に駐在しているので年に2回程度しか帰国しません。
息子は朝登校すると、そのまま放課後から塾で勉強、帰宅は23時近くになります。帰ってきた息子に夕食を出しながら会話を交わすのが唯一の家族の時間です。しかし、息子の言動はまるで昭和の「頑固オヤジ」状態。そんな息子の様子にJさんは「どうしてこうなったの?」と首をかしげる日々を送っています。
手抜きご飯へのダメ出し
ある日、仕事で疲れ切ったJさんは、夕食を手作りする余裕がなく、いつもは利用しないような少し高級なスーパーの総菜コーナーで「野菜たっぷり焼うどん」買って食卓に出しました。息子に「野菜もたくさん入ってるし栄養面も安心」だと考えてのことだったのですが、帰宅した息子の第一声は…。
「なにこれ?味がしない」
「勉強して疲れて帰ってきてるんだから、もう少し“まともなご飯”が食べたいんだけど」
さらには、「白いご飯だけでいいよ!」「せめて納豆はないの?」ときたものです。
普段は納豆を食べない息子の思わぬ要求に、Jさんは微妙な気持ちに。「何様なんだよ!」と思いつつも、自分の夕食に使ってしまった最後の納豆1パックを思い出し、後ろめたさを感じるのでした。
太ってきたから…
ある日、息子が唐突に言いました。
「最近太ってきたから、夜ご飯は肉じゃなくて魚にして!」
健康を気にして作ってきた鶏胸肉やささみを使った料理も、彼にとっては「ダメ」だったようです。息子のリクエストに応えて魚料理にレシピを探すJさんですが、心の中では、「こっちは疲労回復効果まで考えて作ってたのに!」と泣きそうです。
息子は毎朝体重を量っては、Jさんに見せつけてきます。しかしその度に「食事より、部屋のゴミ箱に捨てられている大量のお菓子の袋の方が気になるわ!」と思ってしまうJさんです。
出されたら残せないんだよ
別の日、夕ご飯を食べ終えた後に息子が言いました。
「夕ご飯の量が多いんだよね!」
育ち盛りの男子なので、正直食べる量(食べたい量)がわかりません。食べるときはラーメン大盛り、うどん2玉などぺろりと平らげるときもあるので、いつも少し多めに作っています。
「残していいんだよ」とJさんが言うと、息子は「出されたら残せないんだよ!」と反論。幼いころから「ご飯は残さず食べよう」と教えた夫の影響が、まるで大正生まれの頑固親父のような発言につながっているようです。「食べる量の調整は自分でしてくれよ」とJさんは心の中でツッコミを入れるばかりです。
通学中の無茶振りLINE
そして極めつけは、息子が学校に向かう電車の中から送ってきたLINE。
「制服のズボンのポケットが破れてた。いつ直してくれるの?」
通学中に言われても対応できないことは明白ですが、彼の中では「母親ならそのくらい自分が言う前に気がついて、すぐに対応していて当然」という感覚なのでしょうか。思わず「親の顔が見てみたい!」と思うものの、育てたのは自分。やり場のない気持ちが募ります。
◇ ◇
息子の“頑固オヤジ”っぷりに困り果てる一方で、冷静に振り返ると、そこには18歳男子の“隠れた心情”も見えてきます。疲れているのか、まだ甘えたいのか、受験のプレッシャーからなのか……。
そんな息子の厳しい態度や要求を受け止めながらも、Jさんは「どこで育て方を間違えたのか」と悩む日々を送っています。子どもが成長し、なんでこんなことで悩んでいたんだろうと、親子で笑って話せるようになる日が来るのを、Jさんは待ち望んでいます。