昭和の時代に活躍した名車たちが集う「昭和レトロカー万博」、今年は会場をこれまでの舞洲から万博記念公園東駐車場に移して開催されました。11月末の晴天の休日、大勢の人出でにぎわっていました。
このイベントではお馴染みの黄色いバルーンのアーチをくぐると、そこはもう昭和。いきなり懐かしいクルマがいっぱいです。
最初に目に飛び込んできたのは、ポルシェのパトカー。白黒の912、絵本で見て憧れたおぼえがあります。高速道路が整備され始めた時代に合わせて各地で導入された車両の貴重な生き残り、モータリゼーション発展時代の生き証人ですね。
次はデコトラ。昭和40年代後半から50年代を席巻した自動車文化のひとページですよね。とにかく派手なペインティングとめくるめく電飾。トラック野郎の映画も10作も続く大ヒットになりました。デコトラのプラモデルも発売されて、筆者も子供心に「こういう日本中を旅する仕事ってロマンがあるなあ」なんて憧れながら作っていたのを思い出します。
トラックの隣には大型つながりでバスが展示されています。ボンネットバスは実際に見た世代ではないのですが、やはり懐かしさを感じてしまいます。ノスタルジーの共通認識、とでもいうのでしょうか。SLをほとんど見たことがない世代にとってもSLはノスタルジックである、みたいな。
そんな「懐かしさを超えたレトロ」な乗用車が続きます。おそらくいま会場に来ているほとんどの人よりも年上のダットサン。どちらもピカピカに手入れされています。
一目見て「おっ、かっこいい」と心惹かれるのはやっぱりスポーツカーなのではないでしょうか。コンパクトなボディ、低い車高、いかにも軽快そうな国産スポーツカーと言えばコスモでしょう。世界で唯一、量産車として実用化されたロータリーエンジン、そして宇宙船のようなスタイリング。スーパーカーブームの遙か前にこんなクルマが走っていたのですね。
そして、スーパーカー時代のライトウエイトモデル、ディーノ。あまりにも美しく神々しい。同じく赤いマセラティ、さらにフェラーリ・ディーノと同じエンジンを積んだ超希少車、フィアット・ディーノ。なんとも言えないです、ほんと。
日産が輝いていた時代、直列6気筒が憧れだった時代。そして、コクピットに生活を載せて長距離の旅をしていた時代。空気感を感じる瞬間です。
サンバーバンは、千葉から自走でやってこられたそうです。ガチャピン、ラリー車、360ccの軽自動車は個性豊かでどれも楽しそうです。
BMWイセッタは、どこもかしこも隈無くドラえもん推しでした。猫のオーナーさんによると、クルマをドラえもんに寄せたわけではなく、元々この色で「ドラえもん」と呼ばれていたので他を寄せていったのだそうです。
イセッタには右ハンドルと左ハンドルがあって、それぞれドアのヒンジが逆になっていて開く方向が違うとか、3輪と4輪があって、維持費が全然変わってくるとか、面白いお話をいろいろ伺いました。
スーパーカーブームの頃、小学生の間で流行ったのがスーパーカー消しゴムです。学校におもちゃを持ってきてはいけないが消しゴムだったら、というおもちゃと文房具の微妙な境界線をついた商品。さらにそれをBOXYのボールペンで弾いて遊ぶのがお約束でした。いや、ついついガチャを回しそうになりましたよ。
そんな時代に登場したのが「羨望の、サバンナRX-7」です。うわっ、国産車やけどスーパーカーライト付いてるわ、スーパーカーやっ!」とテンションが上がったのをおぼえています。「太陽を盗んだ男」で沢田研二さんがカーチェイスしてたのもかっこよかったです。
スーパーカー世代の憧れはやっぱりカウンタック。今回展示されていたのはレプリカで、中身はポルシェ・ボクスターでした。しかしその見事な変身ぶりと、レプリカとは言え超絶かっこいいカウンタックの姿と、ダブルで感激ものです。
来年は大阪・関西万博。そしてここは1970年の万博会場。そこに現れたこの乗り物、なんと万博の時に会場を走っていた電気自動車なんだそうです。レトロ感の中にも当時の未来っぽさが漂う不思議な佇まいですね。
そして昭和三連発。なめネコ免許証、街の遊撃手、そしてシティ&モトコンポ。もう昭和にもほどがありますね。続いてラビット、そしてランクルとタイプ2。昭和がきわまった感じです。
今回一番驚いたのが、フォルクスワーゲンビートルです。窓枠に取り付けられたジェットエンジンっぽい円筒、これ、クーラーなんですね。後付けというか、まさに外付け。ウインドウを少し開けて冷気を吹き込む仕組みのようです。いやー、昔はいろんなものがあったんですねー。
15時30分からの表彰式を見て、後ろ髪を引かれながら会場をあとにいたしました。また来年を楽しみにしています。
参考・今回の来場者数 8542人 展示車両 370台
協力:昭和レトロカー万博実行委員会