【米大統領選挙目前】トランプ政権復活の兆しに日本企業が警戒感 台湾有事や関税措置への懸念拡大

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総選挙の結果、自民党は多く議席を失い、石破政権は短命政権が避けられないような状況だ。反対に立憲民主党が大躍進し、第2次野田政権も現実味を帯び始めている。日本の政局で大激震が走ったことで、米国は外交·安全保障分野で安定的な関係を維持してきた自民党政権が崩壊し、日米関係が対中国で上手く機能しなくなるのではないかと懸念を抱いている。

一方、世界が注目する米国大統領選挙まで、残り1週間となった。トランプ、ハリス両氏の支持率は流動的に動いているが、政治情報サイト「リアル·クリア·ポリティクス」が発表した最新の世論調査によると、10月26日時点の支持率では共和党のトランプ氏が48.4%、民主党のハリス氏が48.3%とトランプ氏が0.1%上回る状況となっている。ハリス氏が後継候補になって以降、トランプ氏が上回るのは今回が初めてとなるが、ハリス氏はバイデンの後継者として勢いを持って指示を広げてきたが、最近は支持の伸び悩みが指摘されている。トランプ氏は選挙戦を左右する激戦7州でも全てハリス氏を上回っており、ここに来てトランプ政権の再来が現実味を帯びてきている。

周知のように、米中対立や台湾情勢、ウクライナ戦争など日本企業に影響を及ぼす課題は多岐にわたっているが、企業関係者が今日最も関心を寄せるのが米国大統領選挙の行方だ。どちらが勝利するかによって、今後の海外戦略を見極めようとする企業も少なくない。明確な数字として表現できるわけではないが、日本企業の間ではトランプ支持よりハリス支持の方が多く、それはトランプ政権になると世界経済がより不安定化することへの懸念があるからだ。

台湾に進出する日本企業は3000社を超え、台湾有事への懸念は時間の経過とともに企業人の間で広がっている。例えば10年、20年という長期的なスパンで台湾事業を計画しているような企業は、今回の大統領選挙でトランプ氏が勝利すれば、台湾への軍事支援を重要性を訴えるバイデン政権(ハリス氏は基本的にはバイデン政権の外交姿勢を継承する)の路線から台湾軽視の姿勢に転じ、それをチャンスとみた中国が台湾への軍事的圧力をいっそう強めるのではないかと懸念している。

そうなってくると、台湾事業を長期的に拡大していったとしても、いつかは台湾有事による難題(中国軍による海上封鎖や駐在員の安全·保護など)に真正面から対応することを迫られ、企業の収益、企業イメージの観点から台湾事業の長期的拡大は避けた方が良いとの声も聞かれる。反対に、ハリス氏だとこれまでのバイデン政権の路線を継続することから、ハリス勝利の方が台湾事業を計画、実行に移しやすいという見方がある。

また、トランプ氏の対日姿勢への懸念も聞かれる。ハリス氏が大統領になっても、日本企業に対して保護貿易的な姿勢を全面に出してくることは考えにくいが、トランプ氏は中国製品に対する関税を一律60%に、その他の国々からの輸入品に対して10%から20%の関税を課すと主張している。当然、日本がこの例外になることは考えられず、日本企業の間ではトランプ政権の再来によって米国の保護貿易主義的な姿勢に拍車が掛かることへの強い懸念がある。トランプ氏は日本製鉄によるUSスチール買収計画についても、絶対にそれを阻止するとの姿勢に徹しており、M&Aという観点からも日本企業によるトランプ警戒度は高い。

今日、日本企業にとってハリス勝利は大きな変化を与えないが、トランプ勝利のシナリオであれば上述のような動きや声に加え、中東に駐在する駐在員の安全、米中貿易摩擦など企業が取り組むべき課題が増えることだろう。

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