「決して犬に無理はさせません」
災害救助犬静岡さんの公式HPに、今回現場に出動したシェパードのシュティちゃんのハンドラーさんの手記が投稿されていたが、能登半島には今も1月に発生した地震の被害の跡が深く残っており、胸が痛む状況だったという。
「今回も1月の出動時と同様に、道路状況が非常に悪く、徒歩での現場移動が多かったです。浜辺や河岸などの砂地では人間も足を取られやすく、歩きにくい現場もあり、捜索活動が大変でした。しかし私たちハンドラーは、どんなに過酷な現場でも、普段の訓練通り、平常心で犬たちに接しなければなりません。ハンドラーは救助犬と一心同体で捜索を行なっています。犬たちはハンドラーの感情の変化などを敏感に感じ取ってしまうからです。
そして、夏季は寒い季節よりも犬への負担が大きくなるため、いつも以上にハンドラーは犬の調子を注意深く観察し、捜索の継続が可能か、それとも休ませた方が良いのかを随時判断しています。決して犬に無理はさせません。これまでの出動でもそうでしたが、夏季の捜索では、時間と日陰を見つけては、犬のために積極的に休憩を取るようにします」(認定NPO法人災害救助犬静岡さん)
「災害救助犬」の活動にさらなる理解を
実は私たちが考えるべきなのは、災害大国である日本の救助犬団体のほとんどが、民間のボランティア団体であることだ。救助犬を牽引するハンドラーは我々と同じ、仕事を持つ一般人。多くのハンドラーたちは有給などを駆使して救助活動を行っているという。
さらに、たとえ公的機関からの出動要請であっても、被災地に向かう燃料費や滞在費、犬やハンドラーが心身を負傷した際の治療費などもすべて、寄付金やその団体の会費、自費などで賄われているのが現実だ。
「どの出動でも移動費、食費、宿営費等、多額の出動費がかかっています。それらは会の運営費から賄われますが、その費用は会員たちの会費、皆さまからのご寄付で成り立っています。今回の出動も、皆さまからの温かいご寄付がこれまでにあったからこそ出来たことです。温かいご支援に大変感謝いたします。SNSでもたくさんの応援、ご支援のお声をいただけましたこと、会員一同、心より感謝しております。ありがとうございました」(認定NPO法人 災害救助犬静岡さん)
犬に救助活動をさせることを否定的に捉える人もいるだろう。だが、興味がなければ集中力が続かない「犬」にとって、「救助活動」は大好きなハンドラー(飼い主)と共に行う楽しいゲームや冒険のようなものなのだという。
災害救助犬静岡さんがHPやSNSに投稿している訓練時の様子を見ても、犬たちがその優れた嗅覚や運動能力を活かして、「救助活動」を楽しんで行なっていることがわかるだろう。
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