内閣府の「2017年(平成29年)版高齢社会白書」によると、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれていますが、このことを知っている人はどのくらいいるのでしょうか。ライフネット生命保険株式会社(東京都千代田区)が実施した「認知症」に関する調査結果によると、約4割の人が「知っている」と回答しました。その一方で、自身が「将来認知症になる」と考えている人はわずか1割強にとどまることがわかりました。
調査は、全国の20~60代の男女1000人(各年代100人)を対象として、2024年8月にインターネットで実施されました。
調査の結果、「家族や親族など身近な人が認知症になった経験がある」と答えた人は全体の24.3%。これを性年代別にみると、「60代男性」(31.0%)と「60代女性」(35.0%)が最も多くなり、年代が高いほど割合が高くなる傾向がみられました。
また、2025年には「65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれている(※)ことを知っている」と答えた人は全体の41.3%で、認知症と診断された家族や親族が1人いる人で58.2%、2人以上いる人では66.7%となりました。
その一方で、「自身が将来認知症になる」と考えている人はわずか16.4%で、認知症と診断された家族や親族が1人いる人でも22.9%、2人以上いる人でも33.3%にとどまりました。
また、「認知症になった時に、お金がかかると思う内容」を自由回答で答えてもらったところ、「医療費、薬代」「介護施設に入る費用」「介護、リフォーム」といったコメントが多く寄せられています。
次に、「アルツハイマー型認知症の理解度」について尋ねたところ、名称の認知度は全体の87.8%だった一方、「よく理解している」と答えた人は6.1%。認知症と診断された家族や親族がいる人でも14.0%でした。
また、アルツハイマー型認知症を理解している人のうち、アルツハイマー型認知症の原因の1つ『アミロイドβ』が溜まる期間が「20年以上前から」と知っていた人は31.6%となっています。
最後に、日本の人口の5人に1人が75歳以上になる「2025年問題」について尋ねたところ、「知っている」と答えた人は全体の72.8%で、認知症と診断された家族や親族がいる人では86.8%となりました。
また、「2025年問題は深刻な問題だと思う」と答えた人は全体の78.8%。認知症と診断された家族や親族がいる人では90.1%と多くの人が深刻な問題ととらえていることがうかがえました。
さらに、2023年6月に成立、2024年1月より施行された「認知症基本法」について尋ねたところ、「知っている」と答えた人はわずか18.9%。認知症と診断された家族や親族が1人いる人で29.4%、2人以上いる人では35.7%でした。
なお、「国に期待する認知症対策」としては、「新薬や治療法の開発に予算を潤沢につけてほしい」「医薬品が高額なので所得に合わせた料金にしてほしい」「健康診断による早期発見の促進」「介護施設の充実や在宅介護の充実」といった意見が寄せられたそうです。
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【出典】
▽ライフネット生命調べ