安来市内の梨園に高周波音を出す鳥獣被害抑止装置が設置された。近年、実った梨の実の半数近くがカラスなどについばまれて落ち、農家が対策に苦慮。鳥が飛行機の機体にぶつかるバードストライク対策としても使われる装置を活用した。9月1日に取り付けて以降、カラスが近づかなくなっており、効果が出ているという。
装置は山梨県の機器メーカーが開発し、岡山理科大研究社会連携機構の辻維周特担教授(68)が助言する。島根、鳥取両県ではバードストライク対策の一環で、鳥取空港と萩・石見空港に設置されている。
二十世紀梨50本が植わる高橋正行さん(74)=島根県安来市=の梨園に設置した。3メートルの支柱にスピーカー4基と太陽光パネル、バッテリーが取り付けられ、スピーカーから「ピー」「キー」といった高音を発する。持ち運びが可能で、導入費用は約25万円。午前4時~午後8時、縦長の約5千平方メートルの梨園を包含する約200メートル先まで照射する。
高橋さんは収穫直前の8月半ばになると、カラスやヒヨドリの被害に悩まされてきた。これまで威嚇音を出す対策を講じてきたが、鳥が慣れてしまったという。設置して2週間ほどたつが、カラスが姿を見せるものの、近づかなくなったとしている。
状況を確認した辻特担教授は「梨園では初めての設置で、効果が出始めている」と述べた。高橋さんは「カラスが近づきもしない」と喜び、柿をはじめとした他の果実でも使用する考えを示した。