京都府京田辺市の近鉄新田辺駅西側で、数百羽にのぼる鳥の大群と、追い払おうとする市の攻防が10年越しの長期戦になっている。ふんや鳴き声に対する苦情は絶えず、市もあの手この手の対策を展開してきたが劣勢が続いている。今夏も大群が駅前をにぎわせ、市は新たな対策を模索し続けている。
市環境課によると、最初にムクドリなどの大群が確認されたのは2008年。毎年夏を中心に夕方から駅周辺の電線や木に集まり、「ふんが落ちてくる」「鳴き声がうるさい」などの苦情が現在も寄せられているという。
当初、市は関西電力に依頼し、鳥がとまる電線に細い線を張ってもらうなどしたが「しばらくするとその上にとまるようになった」。強いサーチライトを当ててみても「効果なし」。他市で成果を上げたと聞き、危険を感じたムクドリの鳴き声をスピーカーで流してもみたが、「音が聞こえる範囲でしか効果がなかった」という。
ムクドリは保護対象で捕獲や駆除はできない。万策尽きた現在は、群れが消える秋まで、鳥への注意を呼び掛ける看板を設置する対応にとどまっている。
市は「なぜ、毎年同じ場所に集まるかは分からないが、ある程度明るく、近くに高いアンテナやマンションなどがある場所を好むようだ」と分析。長期戦となっても、担当者は「まだあきらめてはいない」とし、他市の成功事例の調査などを続けているという。