ウーバー配達中、迷っていたら「騙された!」 副業妬む同僚から“嘘の道”を教えられ…業務妨害で罪に問える可能性は?【弁護士が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

副業でUberEats(ウーバーイーツ)の配達を始めたAさんは、本業の空き時間を利用して副収入を得ていました。本業の同僚にその話をしたところ、自由になる金があっていいなと羨ましがられています。そんな同僚のひとりであるBさんは、Aさんが副業で稼いでいることが気に入らない様子です。

ある日Aさんが入り組んだ道で迷っていると、偶然そこにBさんが現れます。Bさんはスマホで道を確認しているAさんに近づき、向かっている先を確認すると「あっちだよ」と指を指します。AさんはBさんに感謝しつつその方向に向かっていくと、そこは行き止まり。スマホの地図を見直すと、目的地からは離れていってしまいました。

Bさんに騙されたせいで配達が遅れたAさんは、嘘の道を教えられたと怒り心頭です。後日、会社でAさんは文句をBさんに伝えたのですが「わざとではない」や「どうせ副業なんだし別にいいだろ」と言って謝ってもくれません。Aさんの業務を故意ではないにしても邪魔したBさんは何か罪にならないのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

ー嘘の道を教えると罪になるのでしょうか

配達員に嘘の道を教えた場合、悪質の度合いにもよるのですが軽犯罪法1条31号で罰せられる可能性があります。「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」が対象となっており、Bさんはこのケースに該当すると考えます。

またBさんが嘘の注文でAさんを騙すというように、より悪質な行為をおこなったとしたら、刑法233条に規定されている偽計業務妨害罪になる可能性もあります。ポイントはBさんの行為が「悪戯」と判断されるか「偽計」と判断されるかです。

ー悪戯や偽計だった場合どのような罰則になるのでしょうか

悪戯として軽犯罪法1条31号が適用されれば、その罰則は「1日以上30日未満の拘留または1000円以上1万円未満の科料」となり、偽計業務妨害罪に該当すれば「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」となります。当然、いずれも前科がつきます。

ー意図せず、間違った道を教えた場合はどうなるのでしょうか

意図せず間違った場合は罪にはなりません。ただ意図せず間違えたのか、もともと騙そうとしていたのかは立証するのが困難です。「わざとではない」と言うBさんに騙す意思があったのかを証明する必要があります。それでも嘘の道を教えるのは罪になることを伝えれば、今後の抑制効果は期待できるかもしれません。

◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

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