リアル大学生は「103万円の壁」見直しをどう受け止めている? 「今は食費や生活費で厳しい」「上限が上がればもっと働くかも」

新居 理有 新居 理有

「103万円の壁」の見直しが注目を集める中、学生に立ちはだかるもう一つの「103万円の壁」も見直されることが決まりました。

もう一つの「103万円の壁」とは、19〜22歳の扶養親族を持つ親に適用される「特定扶養控除」です。主に、大学生を子に持つ親などの所得税を軽減する制度です。ただしこの制度を利用するには、学生の年収が103万円以下である必要があります。

今の学生生活を知るために、現役の大学生へインタビューを実施しました。「アルバイトの収入がなければ、生活が苦しくなる」という学生の声。そして、学業とバイトの両立に悩む大学生にとって、「壁」の見直しが大学生活を変える可能性が見えてきました。

特定扶養控除と大学生のアルバイト

学生の多くが直面してきた「103万円の壁」。この金額を意識しながらアルバイトのシフトを調整する姿は、今や当たり前の光景となっています。

「今月はシフトを減らしたよ」
「12月にバイトしなきゃいけないから、シフトを調整してた」

年末になると、こんな会話が大学のキャンパス内でも聞こえてきます。年収が103万円を超えないように、細心の注意を払いながら働く学生たちの声です。

この「年収の壁」の正体は、特定扶養控除という所得税に関する制度です。19〜22歳の親族を扶養している親は、年間で最大63万円まで所得控除を受けられます。

たとえば、額面で500万円の給与をもらったとしましょう。このとき、

・特定扶養控除がないと、所得税額は366,500円
・特定扶養控除が1人分あると、所得税額は240,500円

となります。19〜22歳の子が1人いると、年間12万円以上も所得税が減るのです。所得税に加えて住民税も控除されるので、実際に支払う税金の額はより小さくなります。

ただし、この恩恵を受けるには、扶養されている子の給与収入が103万円以下でなければなりません。年収の上限を超えると特定扶養控除が外れてしまい、親の税負担が一気に増えてしまいます。

大学などでの学びを進めながら、自身の生活費を工面するために働く学生たち。しかし、働き方を考える際には、この「103万円の壁」を意識せざるを得ません。もう少し収入が必要なのに働けない。そんなジレンマを抱える学生も少なくありません。

今年12月に政府は、特定扶養控除における所得要件を見直すと発表しました。12月17日時点では、年収の上限を150万円に引き上げる見込みと報じられています。この税制改革は、学生たちの働き方に新たな選択肢をもたらすかもしれません。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース