「名前はサブロー。
甘えん坊の男の子。
これだけ甘えん坊なんだから
きっと寂しかっただろうな。
介護ケアの方が一生懸命、保護先を探して
うちにたどり着いた。
会えて良かった。
この子がこの場所でこれから先も1匹で生きていかないといけない事を考えると
胸が締め付けられます。
でも、これは氷山の一角で
こんな状態の子、もっと酷い状態の子が
沢山沢山いる」
1年以上部屋の中で置き去りになっていた猫のサブローくん(推定7歳・雄)を保護したことを、福井市の動物保護団体「特定非営利活動法人しあわせにゃん家」さん(@shia_nyan)がInstagramで報告。投稿には「保護ありがとうございます」「今まで寂しかったね 優しい手で撫でられて良かった」「サブローくん よく頑張ったね」「新しい家族が見つかりますように」とたくさんの安堵や喜びのコメントが寄せられ、話題になりました。
部屋の中でひとり残された猫…ケアマネが1週間に一度ご飯をあげていた
しあわせにゃん家さんによると、元飼い主だった高齢の男性が介護施設に入りサブローくんは部屋の中で”ひとり”残されたままだったとか。施設に入ってから1年ほど男性のお世話をしていたケアマネージャーさんたちが交代で1週間に一度サブローくんのためにご飯をあげに通っていたといいます。
「ケアマネージャーの方々のご厚意でサブローくんにご飯をあげて足を運んでくださっていました。このままお世話をしていくつもりだったようですが、男性のご親族から自宅を取り壊すという話が出てきたとか。ただ猫の引き取りを拒まれてしまって…そこで県内の団体や愛護センターなどに相談をしたところ、成猫を引き取ってくれる団体や個人などが見つからなかったと聞いています。そんな中、私たちの団体に連絡が入ったんです」
保護時、名前を呼んでもなかなか出てこなかった猫 おびえているような様子だった
しあわせにゃん家さんのところにサブローくんの保護依頼が入ったのは、8月中旬ごろ。当時シェルターは保護頭数がいっぱいで、治療や入院が必要な猫たちが多くお世話をするスタッフの人数や活動費が足りないといった状況でしたが、半月ほど待ってもらい保護できる環境を整え、サブローくんの保護に乗り出しました。
「保護に入ると、電気も止められた家だったので奥の部屋は真っ暗でした。布団や畳の上はうんちとおしっこだらけで匂いもかなりきつかったです。人が住んでいない家なのでクモの巣もひどく、ご飯は夏ということもあってカビで青くなっていました。水も同じような状態。サブローくんは名前を呼んでもなかなか出てきてくれず…普段は名前を呼ぶと階段を降りてくるとケアさんがおっしゃっていたので、正直、暑さとご飯がカビていたのもあって死んでしまっているのではないかと思いました。20分ほど探すと真っ暗な押入れのところで声が聞こえて、そっと出てきたんです」
保護時、サブローくんは少しおびえているように感じたというしあわせにゃん家さん。シェルターのケージに入ってもらう時も怖がっていたとか。しかし、1日経過した頃から、安心な場所だと分かったのか自ら甘えてきて鳴いて呼んでくれるそうです。
現在のサブローくんの様子はというと「他の子のお世話をしていると、じーっと目で『こっちこいこっちこい』と呼ぶように見つめてきます。とっても甘えん坊の子です」と、しあわせにゃん家さん。今後について「現時点では必要な医療を行うためケージ隔離の生活をしてもらっています。約1カ月隔離後、検査を経て問題がなければ、シェルターから運営している保護猫カフェにデビューする予定です。もともと飼い猫だったことやずっと1匹で生活してきたこと、また成猫7歳の男の子であることから、ケンカなどの可能性もあるため、既に里親さん募集を始めています」と話してくれました。
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飼い猫を引き取ってほしいという相談が多い ボランティア団体「命を受け入れる覚悟と責任が必要」
サブローくんのように飼い猫の保護をお願いされるケースが後を絶たないという、しあわせにゃん家さん。保護活動について、こう訴えます。
「保護活動を始めて、飼い猫の引き取りの問い合わせ、相談がとても多いです。今回もサブローくんのことを投稿をしたところ、それを見てなのか既に3件の飼い猫の引き取りの相談が入りました。私たちは、猫だけでなくどんな命も人間と同じ大切な一度きりの命だと思っています。自分の子供だったら、自分の都合が悪くなったからと、育てられなくなったからと簡単に捨てるでしょうか。私たちが預かることは、飼い主本人は、預けたつもりなのかもしれません。きっとほっとすると思います。でも、猫にとっては捨てられたのと同じことだと思います。
知らない場所、知らない多くの猫たちと共に生活しなくてはなりません。そして、成猫の次の飼い主を簡単に見つけることはできません。大切にしてくれる場所だからと預けているかもしれませんが、私たちはもしも新しい飼い主が見つからない場合、その子の一生を見ていかないといけません。命を受け入れるということは覚悟と責任が必要です。それは飼い主さん一人一人が強く思って欲しいと思っています。『1匹だけだから引き取ってほしい』という1匹だけという言葉をよく使われます。1匹だけだと思うのなら、自分で新しい飼い主さんを見つけてほしいと思います。1匹のお世話がどれだけ大変かぜひ理解してほしいと思います。保護活動の大変の押し売りをするわけではないですが、本当に大変で簡単に命を押し付けてくる方がいます。そういった方が少しでも減ってくれるとうれしいです」