雨の日も暑い日も通帳記入、お茶くみに社内回覧板も残っていて…昭和に戻ったかのような職場で、社員のストレスは限界に

沼田 絵美 沼田 絵美

「令和になってもう6年目なのに、ウチの職場の非効率さがヤバすぎる」

そんな思いで働いている方はいませんか? 多くの会社でIT化がどんどん進んでいますが、古い習慣や非効率な取り組みがたくさん残っている会社も少なくありません。若い世代が疲弊していたり、中途で入った社員がカルチャーギャップで苦しむ…という事例がみられます。

今回は子育て期を経て、久しぶりに中小企業の事務パートに復帰したAさん(関西在住、40代、事務パート)も、「いまだに残る非効率業務」について悩んでいる一人です。

早めに転職したほうがいいかも…そう思わせる職場とは

新卒で入社した会社を出産と夫の転勤をきっかけに退職し、しばらく専業主婦だったAさん。子どもが中学に進学したのをきっかけに、社員数30人ほどの工事会社で事務パートとして働き始めました。

 10年ぶりの仕事に不安を感じていたAさんですが、PCやオフィス機器の操作は問題なくこなし、すぐに業務に慣れました。

しかし、Aさんは「このままではダメかも…」と転職を考えています。原因は、まるで昭和に戻ったかのような職場環境です。あまりに非効率な慣習や、それを変えようとしない社長や役員、上層部の態度に、ストレスがたまっているのです。

出社初日から驚いたお茶タイム

出社初日、Aさんがまず驚いたのは「お茶タイム」の存在です。10時と15時の1日2回、どんな作業中でも手を止めて、社内にいる社員にコーヒーやほうじ茶をいれて回るのです。

「一度に作って、みんなが好きなタイミングで飲めばいいのに…時代錯誤だけど、飲み物代が浮くから仕方ないか?」と思いつつも、次に驚いたのは「社内回覧板」でした。

しかも回覧順が決まっていて、順番通りに閲覧のハンコを押さないと次に回せない仕組みです。出張が多い課長の席で回覧板が止まっていても、「順番を飛ばすと困るからね」と部長は気にしません。

これでは若い人は来ないかも…

さらに「なんでこんなことをしているんだろう」と謎に思っているのが、記帳のために毎日銀行にお使いに行くこと。何も記帳されない日もあるのに、雨の日も暑い日も毎日記帳に行くのがマスト。「オンラインじゃダメなんですかね…?」とこっそり比較的若い30代の経理社員に聞いてみたところ、「社長が通帳見たがるんですよね…」と、諦めた表情で教えてくれました。

また、工事の受注が好調で忙しいため、求人採用が活発に動いているものの、採用の手順が電話連絡→履歴書と職務経歴書の送付という古いスタイル。「若い人が欲しい」と言いながら、オンライン応募を設定しないため、「これじゃ若い人は来ないかも…」と思うAさんです。

「この会社にずっといたら、他の職場についていけなくなりそうで怖い。何を言っても無駄だというのも、思った以上にストレスですね…」とAさんは話します。

「残業」よりも「非効率な取り組み」を減らす方が職場のストレスは減る!?

職場の状況に応じて、1年前と比べて業務の忙しさによるストレスが増えた割合についての調査データ(連合総合生活開発研究所調べ)があります。その結果、「残業を減らす取り組み」を行っている職場では、行っていない職場との差が3.9ポイントしかありませんでした。しかし、「非効率な業務運営を行っている」職場では、そうでない職場と比べて繁忙によるストレスを感じる割合が大きく、その差は25.6ポイントに達しました。

「働きやすい職場」を目指し残業削減をうたう職場よりも、社員の感じる「非効率」をひとつずつ解消する方が、従業員満足度が高くなるのかもしれません。

▽公益財団法人 連合総合生活開発研究所/勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート調査 
https://www.rengo-soken.or.jp/work/50645803abbffd526c4902d16b5089a690e581e7.pdf

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