熱中症対策に「冷却ジェルシート」はNG!紛らわしいテレビ報道に医療従事者が注意喚起 乳幼児の「命」に関わる重大事故も

はやかわ リュウ はやかわ リュウ

2024年の夏も全国的に平年より気温が高く、観測史上最も暑くなった2023年に並ぶ暑さとなる可能性があるという。

そんななか、テレビのニュース番組内で紹介された「暑さ対策」について語る街頭インタビューの内容について、医療従事者が投稿した注意喚起のポストがX(旧Twitter)で話題になった。

「冷却ジェルシート」は…熱中症対策にはNG

「ニュースで『赤ちゃんの熱中症対策に冷却ジェルシートを貼ってます』という街頭インタビューの映像が出ていたが、これはニュースで流すべき映像ではない。『冷却ジェルシートに熱中症予防の効果はない』『冷却ジェルシートで乳幼児の窒息事故が起きている』という知識こそ、もっと普及させるべき」

そう投稿したのは、医療現場で働く看護師、Oggi(@Oggi_Kenkou)さん。

Oggiさんによると、ニュースに登場した乳児の額には「冷却ジェルシート」が貼られていたという。しかし、「冷却ジェルシート」はメンソールと気化熱によってわずかに表面温度を局所的に下げる、言わば”ひんやりして気持ちがいい”という効果の製品なのだという。

「『冷却ジェルシート』は、”不快感やつらさを一時的に和らげる”という良い面がありますが、熱中症予防の効果や、体温を下げる解熱の効果がある製品ではありません。こういった『冷却ジェルシート』の特質を個々人が知らない…というのは致し方ないことだと思います。しかし、『暑さ対策のひとつとして冷却シートを貼っている』という街頭インタビューの発言がそのまま、影響力の大きいテレビのニュース内で放送されるのは、誤った認識がさらに広まることに繋がりかねないと懸念しています」(Oggiさん)

「熱中症予防」には「保冷剤」を併用して

さらに驚くべきことに、「冷却ジェルシート」によって乳幼児の命に関わる重大な事故が起きているという。

「2004年、生後4カ月の男児が『冷却ジェルシート』によって窒息状態となり、一命は取り留めましたが、重い後遺症が残ったという事故事例があります」(Oggiさん)

今回報道された乳児の両親について、「親御さんを責めるつもりはなく、誤った認識をそのまま放送するメディアの有り様について語っています。この親御さんは(外出の是非はありますが)保冷剤入りのベビーカー用マットも併用し、屋内施設に移動する予定だとも話されていました。保冷剤を併用してたのが救いです」と、Xに投稿していたOggiさん。

「ハンディファン」も状況次第で危険

Oggiさんによると、熱中症対策や解熱にはやはり、「保冷剤」が有効だという。

「保冷剤は、熱中症の予防にも応急処置にも使うことができます。効率的に体を冷やすのであれば、太い血管が通っている首や脇の下、足の付け根を冷やすのがよいですし、手のひらや足の裏を冷やすことも効果的だとされています。ベビー用品には、保冷剤を入れられるベビーカー用のマットもあります。ただ、赤ちゃんはしゃべれませんから、保護者さんが常に、保冷剤がぬるくなっていないか?赤ちゃんにとって冷た過ぎないか?を気にしていただけたらと思います」(Oggiさん)

また、数年前から夏の定番グッズとなった「ハンディファン」の使用も注意が必要なのだそう。

「気温が35度を越えるなかで使うと熱風を送るだけなので、かえって熱中症のリスクを高める可能性があります。気温が高い日は、濡れタオルを首に巻いて併用する方法が効果的だとされています」(Oggiさん)。

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