京都のライドシェア、実際どう? 「ライドシェア車両と知ってキャンセルする人も」

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 ライドシェア解禁から1カ月余り。京都市内ではインバウンド(訪日客)の利用が中心で、日本人にはまだなじみが薄いようだ。一方、京都運輸支局によると、ライドシェア事業を許可したのは5月上旬時点で京都市や宇治市の16社に広がってきた。京都のタクシー業界で最大手の彌榮(やさか)自動車(下京区)など複数社が審査中といい、供給体制は整いつつある。

 先陣を切ったエムケイ(南区)は、週末や平日の夕方から夜間に約20台を運行する。1車両あたり1時間平均約1・5組が利用しており、開始当初からほぼ変わっていないという。利用の9割は訪日客が占めるといい「訪日客は配車アプリの利用に慣れているが、日本人客はまだ少ない。(ライドシェア車両が)流しで客を乗せることはできないので、タクシーに比べて売り上げは2、3割落ちる」と話す。

 同社は管理職社員が乗務しているが、一定の需要見通しが立ったため、4月半ばから時給1300円で一般ドライバーの募集を始めた。45人の応募があったといい、今月から一般ドライバーによる運行を始めた。

 都タクシー(南区)は一般ドライバー29人を採用し、約15台を運行している。利用はタクシーと同水準で、1時間あたり2組を超えるが「タクシーの補完というライドシェア本来の目的を果たすには車両数が少なく、ニーズはまかない切れていない」という。

 週末に乗務している一般ドライバーの男性(63)は「乗客のいない時は四条通や河原町通を中心に走りながら待つが、配車指示がすぐ入るので忙しい。大きなトラブルはないが、ライドシェアの車両と知ってキャンセルする人もいる」と話す。同じく一般ドライバーの中尾秀樹さん(50)は「実際の目的地が事前の指定と違う乗客もしばしばいて困ることもあった」と振り返った。

 ライドシェア事業が社会に定着するには、もう少し時間がかかりそうだ。

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