ゆるいイラストで京都市営地下鉄・市バスの経営難を自虐的にアピールする「まぢピンチキャラクター」のLINE(ライン)スタンプがじわりと人気を集めている。昨年5月に1セット120円で販売したところ、収入は約6万円と目標の2万円を超えた。莫大な借金を抱える交通事業の経営改善策としては「スズメの涙」に過ぎないが、市交通局は「地下鉄・バスのPRにつながる」と波及効果に期待し、4月中旬から第2弾を販売している。
地下鉄は東西線建設に莫大な費用がかかったこともあり、3千億円以上の有利子負債(2022年度決算)を抱える。バス事業も燃料費高騰や運転手確保策が響き、同局は将来的な運賃値上げも視野に入れる。昨年度から「なりふり構わない経営改善」と銘打って、新たな増収策を始めた。
その一環として、昨年5月、地下鉄・市バス応援キャラ「太秦麗」らを同局職員がリメークした、まぢピンチキャラのスタンプを120円で発売。同局の経営難を伝えるホームページに載せた「まぢピンチ」のイラストに加え、「落ち着いて聞いてください」や「うそやろ…」といった言葉を合わせて、32種類のポーズをそろえた。
同局は2万円の収入を見込んでいたが、2月までに約1800件の購入があり、経費などを差し引いた収入は約6万円に。同局企画総務課は「想像以上の売れ行き。口コミで購入者が広がったのでは」とする。太秦麗が「まぢピンチ」と話すスタンプをよく使うという会社員女性(43)=南区=は「(自分の)苦しい状況を軽い感じで伝えられるのが便利。キャラもすごくかわいい」と話す。
一方、スタンプには若者言葉が多く、購入者から「上司や先輩に対して使いにくい」といった声も寄せられた。このため同局は第2弾として18日から、「承知しました」や「お手数をおかけします」といったビジネス用語とともに、太秦麗が32種のポーズを取るスタンプを120円で発売。「より使いやすいスタンプで、売り上げは前回以上を目指す。交通局の厳しい経営状況を知ってもらい、利用者増につなげたい」としている。
LINEのホーム画面でスタンプを選び、「まぢピンチ」と検索する。