「まぢピンチ」「コロナ半端ないって」京都の市営地下鉄と市バスが厳しい経営状況をゆるく発信 「危機感ない」と厳しい意見ある中でも続ける狙いは

京都新聞社 京都新聞社

京都市交通局が、市営地下鉄と市バスの厳しい経営状況を「ゆるい」キャラクターのイラストで発信している。赤字決算や乗客減などの窮状をかわいらしいタッチで伝えるギャップがSNSなどで話題になっており、交通局は「少しでも利用促進に意識が向けば」と期待している。

イラストには、地下鉄・市バス応援キャラ「太秦萌」「松賀咲」などが登場。6月からホームページで公開を始め、現在のところ4作品を掲載している。

新型コロナウイルス禍が始まる前と比べて利用客数が25%減となった状況をキャラが「まぢピンチ」とスラングを使ったセリフで紹介したり、2年連続の経常赤字を「コロナ 半端ないって」と過去の流行語を交えて説明したりしている。また運賃収入が激減する一方、市バス燃料の軽油価格が高騰している状況を四コマ漫画で表現したものもある。

市営地下鉄は2020年度決算で、国から経営再建を求められる経営健全化団体に転落。市バスも同団体に陥る恐れがあるとして、交通局は地下鉄7%、市バス8%程度の運賃値上げを予定している。取り組みは、視覚的に分かりやすく経営状況を発信する「見える化」の一環で、イラストをクリックすると詳細な経営状況を記したページに飛べる仕組みになっている。車内で掲示する「交通局ニュース」にも取り入れている。

経営難のため、作成は「自前」でまかなっている。イラストが趣味の交通局総務課職員古田武士さん(38)がタブレット端末で手掛けており、「試しに描いたものが採用されることになった。昼休みに息抜きがてら楽しく取り組んでいる」と話す。

イラストはTwitterなどで注目を集め、「かわいくて好き」「市バス車内で見て笑った」「利用するので頑張って欲しい」などと好意的なコメントが多く寄せられている。中には「危機感がない」といった厳しい意見もあるが、市交通局は「反響も大きくありがたい。伝えたいテーマはたくさんあるので1カ月に1回ほどのペースで公開を続けたい」としている。

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