クックちゃんは、2022年4月、愛護団体NPO法人ねこけんが個人の多頭飼育崩壊現場に入った時に、猫たちと一緒に保護された。現場の床はべとべとしていて、天井は落ちていた。何かわからないものが積み重なり山のようになっている荒れた室内。猫たちは気だるそうにうずくまっていたという。
「小さな子猫が11匹、大人の猫が6匹いました。建物の取り壊しが翌日に迫っていたので急いで保護しなければならず、緊急の案件でした。同じ現場にいたグレーのトイプードルクックとアプリコットのトイプードルも一緒に保護しました」
幸い猫たちは人慣れしていてひょいひょいとキャリーに入れて保護できたが、1匹だけ見当たらない。荒れた室内では探すのも大変だったが、天井裏に入っていくのが見えた。しかし、屋根裏をのぞいても姿は見当たらず、そうこうしているうちにメンバーの一人があまりの悪臭に耐えかねて気分が悪くなった。天井裏に逃げた猫は捕獲器を仕掛けて翌日保護したそうだ。
再会、一緒の家族に
一塊になっていた子猫の状態はかなり悪く、皆目が塞がり風邪をひいていた。
「目は早く開けてあげないと失明の危険があります。車の中で目の周りを消毒しました。なかでも具合が悪かった子猫は虫の息でした。ガリガリで皮膚はカサカサ。呼吸も弱く鳴く力もありません。前日に4匹の子猫が亡くなったと聞いていたのですが、その子たちの兄弟かもしれません。途中で猫用ミルクを買って急いで飲ませ、その夜は代表が預かりました。この猫は命を取り留め、ミラクル太郎と名付けました」
クックちゃんたち2匹のトイプードルは、長毛種の猫やトイプードルを預かっているKAMさんのところで預かることに。クックちゃんは全盲だった。なかなか里親が決まらずにいたが、2024年4月、先に家族が決まっていたラテちゃん(茶色のトイプードル)のご家族がクックちゃんも迎えたいと言ってくれたという。
「数年ぶりに再会した2匹の感動の再会!とはならず双方我関せずでしたが、それでも長年一緒に暮らしたラテと再び一緒の家族になることができました。元気に長生きしてほしいと願っています」