「耳腐ってるスコおるで」
愛知県豊橋市でマンチカンを始めとする犬と猫のブリーダー崩壊が起きた。そこで動物たちを全頭レスキューしたd&human“ダンドヒューマン”がブリーダーに聞き取りをすると、「耳腐ってるスコ(スコティッシュフォールド)おるで」と報告したという。
ブリーダーの話はコロコロ変わったが、
・病院での診察及び、検査をしたことが無い
・何度も妊娠 出産を繰り返している
・食事は月曜日と木曜日の週2回のみ、水換えも月曜日と木曜日の週2回のみ
・食事は大皿(バケツ)に入れて全頭で食べる形式
・弱い子は十分に食事出来ず、衰弱
・既に衰弱死していた子もいる
・トイレの掃除も月曜日と木曜日の週2回のみ
・食器はもちろん、室内はかなり不衛生
ということが分かった。
衰弱して死んでたわ〜。仕方ない
ブリーダーは、現在は廃業。廃業後、不妊手術を行わずオスメス混合で放し飼いにしていたため頻繁に出産が起きた。しかし出産後、子猫たちが生き残ることはほとんどどなく、1週間ほどで全滅したという。
高齢の猫については、「少し前に衰弱して死んでたわ〜。仕方ない」と笑いながら団体のスタッフに報告したそうだ。また「産まれたばかりの子猫が、1週間の旅行後お世話をしに行った際、跡形もなく無くなっていた」とも話したそうだ。
劣悪な環境と乱暴な扱い、レスキューを阻むもの
d&humanは、レスキューした犬や猫を預かってくれるボランティアを募ってレスキューに乗り出した。ブリーダーと一緒に施設内に突入したが、その時の猫の扱いは乱暴を極めた。
「ブリーダーが猫の尻尾をつかむと、ぶら下がった猫が叫び声を上げた後、彼の手を噛みました。その後、蹴りあげ、履いていたスリッパを取り、その手の方で、地面へ向かって殴り落とす始末。この子はレスキュー翌日診察してもらうと、脊椎の神経炎症による麻痺が確認されました。治療を開始しています。すばしっこく逃げる子には、『ほんま、可愛ないわ』と舌打ち。この子も股関節を掴まれ引っ張られました」
この日、死亡が確認されたのは猫が2匹、ポメラニアンが1匹だった。
「もっと早くレスキューできないのか!という声もありますが、所有権の壁がそれを阻むのです。所有権を手放して、サインしてもらわないとレスキューできません」
代表が車に乗せた子達を確認中、外に白の短足マンチカンが座ってこちらを見ていた。焦って「誰か逃げてる!」とスタッフに伝えに行くと、ブリーダーが「あ、花子や、1年前くらいに逃げよってん、あれが花子の子供」と指差す先にマンチカンMIXの若い子がいた。ブリーダーは、猫たちの世話をする時、玄関を開けっ放しにして過ごしていた。
「保護当日も現着してすぐ玄関を全開に。すぐ閉めましたが、その時も
『こいつら逃げる勇気無いから大丈夫』と。マンチカンが小さすぎる身体と短すぎる脚で道路を渡るのが本当に危険すぎました。ブリーダーは、『あいつ、1人で生きていかれへんタイプやのにな〜』と言っていました」
その後、d&humanは、白マンチカンがいるという家庭を訪問した。
「ある日突然、花子、花子の子、白マンチが庭に来るようになったそうです。家の中には高齢の猫さんがいるため入れることができないからと不妊手術を済ませて下さり、充分な食事にお水、暖かい寝床と電気も用意をして見守ってくださっていました。事情を説明し、白マンチカンもこちらで保護に至ります」
ブリーダーは本邸と別邸を持っていたが、別邸に立ち入った時のこと。代表は、ブリーダーがポメラニアンを抱き抱えているのを見て堪忍袋の緒が切れ、大喧嘩になった。
「彼は逆ギレした時にポメラニアンを高めのゲージ上に投げ捨てました。変に股間が開き足がガクガクなってしまい、急いで助けようとタンスに飛び乗り何とか降ろしました」
4回の突入と捕獲を繰り返し、猫17頭 犬3頭のレスキューが完了した。代表の神田さんは言う。
「悪徳なブリーダーの規制を強くする?その答えは甘すぎるんです。生体販売自体を終わりにしないといけない。私たち人間は、命をどうしても大事にはできないという自覚が必要です。悲しい繰り返しを犯さないように、生体販売自体を終わりにしないともう何も変われません」