日本の「観光GDP」…実は、欧米水準の半分程度 求められる「より稼げる産業」への変革

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日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2023年の訪日外国人旅行者数は2506万人となり、年間累計としては2019年の3188万人の8割程度まで回復しました。また、2023年12月だけでみると273万人であり、これは2019年同月比で108%となり、最近のインバウンド回復基調を象徴する数字となっています。

このように観光需要の回復が鮮明となる中、注目されているキーワードに「観光GDP」があります。観光GDPというのは、一国のGDP(国内総生産)の中で観光需要によって生み出された付加価値の総額を示しています。観光や旅行が生み出す経済活動の規模を示す指標ですから、経済の観点で観光をみる時、最も重要な指標といってもいいでしょう。

観光GDPは推計方法が複雑で専門性が高いため、頻繁に公表されるものではなく、今まであまりクローズアップされてきませんでした。しかし、2023(令和5)年版観光白書で久しぶりに観光GDPが大きく取り上げられ、再び注目されるようになりました。観光データは正確なデータが整備されるまで時間がかかるため、ここでは詳細なデータが得られるコロナ禍前の2019年を例に観光GDPの仕組みを説明します。

2023(令和5)年版観光白書で観光GDPのことが取り上げられたのは、観光需要の復活が期待される中、日本の観光GDPの水準が欧米諸国よりも低いということです。日本の観光GDP(2019年)は11.2兆円であり、日本全体のGDP(2019年)558兆円の2.0%となります。これはG7平均(日本を除く)の4.0%に比べると半分の水準しかありません。日本の観光分野の付加価値を高め、観光産業を「稼げる産業」へ変革することが求められています。

一方、日本の観光GDPは対GDP比率では低いように見えますが、11.2兆円という規模は世界第4位です(フランスが未公表なので、フランスを入れると第5位かもしれません)。日本は世界の中でGDPの規模が大きく、また産業が多岐にわたるため、観光経済の成長は明らかなものの、相対的な比率ではまだ低いというところがあります。日本の主力産業である自動車産業を含む輸送用機械の総生産が約14兆円ということを考えると、観光GDPの規模は決して小さいものではありません。

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