2023年10月頃、猫が増えすぎてどうにもならないという連絡が、福津市津屋崎で保護活動をしているMさん(mackle_house)のところにきた。仲間のボランティアたちと現場に行くと、59才1人暮らし男性で、家の中に28匹の猫がいた。生活が苦しいということだった。
「家の中に入るとそんなに汚れてはいなくて、猫のトイレ掃除などはしてあるようでした。ただ、床には猫の遺骨が転がっていて、死骸もありました。」
Mさんは、24匹の不妊手術をして、4匹の子猫と10匹の生後1才未満の状態の悪い子猫、計14匹を他のボランティアたちと保護したという。
「14匹の面倒は本人がみるということでした。月に2回程猫のごはんを持っていき、様子を見ていました。その方も日雇いの仕事をして猫のごはん代を稼いでいらしたので、もう大丈夫だろうと思っていました。」
余命宣告
ほっとしたのも束の間、2024年1月下旬、男性は膵臓ガンで余命2ヵ月だと医師に余命宣告をされた。男性はMさんに電話してきて、
「もう家に帰る事ができない。病院から電話している。1週間家に帰っていなくて猫をおいたままです。猫をよろしく。」と言って電話を切った。
「猫をおいたまま1週間家に帰っていない!猫たちは大丈夫だろうか?」、Mさんは急遽、予定を変更して、ボランティア達と家に向かった。
「家の中はうんちだらけになっていて、水は一滴もなく、部屋に入ると猫達が足元にすすり寄って、にゃ〜にゃ〜鳴いていました。すぐに持ってきたごはんをあげ、水をあげようとしたら水道が出ない!止められていたのです。」
近くにコンビニもないので、Mさんたちは少し離れた自動販売機で売り切れになるまで水を購入して
猫たちに水をあげた。
「すごい勢いで、みんなでたかるように水を飲んでいた姿が今でも目に焼き付いてます。すごく喉が乾いていたんだろうなと思うと涙が出てきました。」
家の中を見回ると、14匹が生活していた部屋だけは比較的きれいだった。他の部屋はぐちゃぐちゃで、外から猫が出入りしていた。後から男性に聞くと、手術する時に「猫はこれだけだよね?」と何度も聞いたのに、隠していたということだった。
「あと14匹だと思っていたのに、30匹くらいになっていました。見るとまだ1才未満の猫ばかり。とにかくできるだけ連れて帰り、後はまだここに置いておくしかありませんでした。」
医療費など、のしかかる重圧
大家さんからは、「猫を処分してすぐに出て行って!」と言われた。
「どうにかお願いして家賃を2万円プラスして、猫は1部屋に入れて了承してもらいました。電気もガスも水道も止まっていたので、電気代と水道代の滞納分を支払いました。」
さすがにガス代の支払いまでは及ばず、お湯が出ないので水が冷たかったが、寒い中、ボランティアたちは文句一つ言わす頑張って掃除してくれたという。
「とにかく猫が使うスペースだけお掃除しました。山の中だったので、みんな遠方から1日に交代で2回通いました。寒かったのですが暖房器具がなかったので、中古のエアコンをつけてこたつを置いて、猫達にもしのいでもらいました。」
飼い主は、猫が増えすぎて妊婦の猫ちゃんを水につけて死なせたり、餌に毒を入れて殺していたようだった。計50匹ほどの猫。Mさんは、途中見てみぬふりをしようかという考えが頭をよぎったが、見捨てることはできなかったという。
少しずつ暖かくなってきて、猫達も過ごしやすくなってきた。狭い1部屋と外に出られないように作ったキャットランでには19匹の猫達が残っている。Mさんは猫達を引き取る部屋の建設をした。5月終わり頃には完成予定だったが、雨が多く工事が長引き完成が1ヵ月ほど延びてしまった。
「本当に状態の悪い猫ばかりで不憫ですが、まだまだ我慢してもらわないといけません。ボランティアの方たちは状態の悪い猫から引き取り、医療費を負担をしてくれています。医療費に使ってくださいとお渡ししても、家賃も光熱費もごはん代もかかっているからと受けとることもしません。」
現在、成猫70匹ほど。子猫30匹、妊婦の猫を含めて100匹以上の猫の世話をしているというマックルハウス。猫の手術費用や本当に状態の悪い猫の医療費、まだ現地に残している猫のための家賃や光熱費、毎日かかるごはん代、猫砂などの費用が重くのしかかっている。Mさんは、「今回の多頭飼育は本当に数が多すぎました。」と肩を落とした。
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