「別れるならネックレス捨てろ」娘が誤って投げた車の鍵「とにかく帰っておいで」父は釣り竿を手に川へ向かった

伊藤 大介 伊藤 大介

木船田さんには、鍵をどうしても回収したい理由がありました。

「家にスペアキーを保管していたので、実費をかけて作り直してもよかったのですが、川に沈んだキーホルダーが、娘が修学旅行で買って来てくれたお土産の品だったので、なんとか回収したかったんですよね」

ZAKU(ザク)のイラストが描かれ、ジオン軍のエンブレムが刻印されたキーホルダーは、ガンダムを愛する木船田さんの好みに合わせて娘さんが買ってくれた思い出の品でした。

「買ってくれたのはもう6〜7年前になるでしょうか。正直そこかしこ壊れてはいるのですが、粗末にする気になれずに使い続けております」

「なので、キーホルダーを回収できた時はとても達成感がありました。諦めたら失われていた思い出の品を再びこの手にできたのですから」

 木船田さんはガンプラをいじってきた工具を駆使し、キーホルダーを修理し、水没して錆(さ)びたO(オー)リングや金具を交換しました。

「破損箇所にヒモ状のものが絡みやすいことが今回の騒動でわかったので、ゼムクリップの針金で補修し、似たようなトラブルを防ぎたいと思います」

11日水に漬かっていたリモコンキーは、通電させないまま、乾燥剤を入れて密封して乾かしたところ、無事作動しました。

「娘が川に落ちるようなこともなく、鍵も思い出のキーホルダーも結果的に回収できて満足しています」

◇  ◇

思い出のキーホルダーが見つかり、鍵は復活。「問題はこの特級呪物だよな…」と木船田さんが処遇を決めあぐねていたのは娘と元彼のペアネックレス。結局「パパに一任する」となり、木船田さんは消毒の上、ガラス瓶に封印しました。

木船田ヒロマルさんはカクヨムxBOOK☆WALKERインディーズ小説コンテスト受賞作「トリロバイタル・ライターズ」でデビューし、受賞作は電子小説サイトBOOK☆WALKERで販売しています。

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