善意で始めた野良猫への餌やりが悲劇を招いた 「どうか助けて」保護団体に届いたSOSメール

松田 義人 松田 義人

2023年の初夏、猫の保護や世話をする団体・城下町にゃんこの会和歌山(以下、にゃんこの会)に1通のメールが届きました。

「どうか助けてほしい」という男性からのもので、自宅で多頭飼育崩壊が起きているとのこと。ずさんなブリーダーではなく、当初はあくまでも「善意で始めたこと」がきっかけだったと言います。

家の中、敷地内に猫がどんどん増えていった…

男性のメールによれば、野良猫たちが外で生き抜いている姿を見て不憫に思い、エサを与えたのが最初といいます。

そのうちに野良猫を家に入れたりもしました。さらに見知らぬ野良猫や群れをなした野良猫たちが家に入ってくるようになり、家の中や敷地内に棲みつき始めのだと言います。敷地内で出産し、猫がどんどん増えていく状況。近所からの批判に加え、増え続ける野良猫たちのエサ、トイレ、病気の治療などで追われる日々。

男性は精神的に不安定になったそうで、「生きた心地がしなくなった。どうか助けてほしい」とありました。

 

男性は保護団体の存在を知らなかった

「保護団体」という存在を知らなかった男性は、警察や行政などに相談すれば野良猫たちは保健所に連れて行かれそのまま殺される、と考えていたそうです。なんとか自力で解決しようするあまり、多頭飼育崩壊を起こしたわけですが、にゃんこの会の存在を知り、助けを乞うに至ったそうです。

にゃんこの会のスタッフは、男性の当初の善意に気持ちを理解しながらも、「かわいそうという思いだけでは野良猫たちを本質的に助けることはできない」とも伝えました。そして、この男性の家の中、外にいる野良猫たちを複数回にわたって保護。なんとか多頭飼育崩壊を解決することができました。

「誰しも限界があります」

男性は経緯を踏まえ十分に反省した上で、SNSでこんなメッセージを残しました。

「どうしようもないところまでになってしまった罪を感じますが、ここでストップをかけることが自分のできることだと思います。そして同じような状況になっている人や、こうなってしまうかもしれない人に、このことを少しでも伝える義務があると思います。今まで自分で解決できる、いや自分で解決しなければと思っていましたが、今となれば到底自分だけで解決できないところまできていたことに気付きました。

もし同じような状況になっている人がいれば、そのようなところ(にゃんこの会など)に相談してください。誰しも限界があります、限界を越えればその猫ちゃんたちも不幸にしてしまいます。どうか全ての猫ちゃん、というか動物が幸せになれますように」

スタッフは、「当初は外で暮らす猫を思っての善意だったものの、結果的に大変な事態を生み出す」ケースは少なくないと言います。そして、繁殖力が高いのも猫の特徴であり、不幸な猫、行き場を失う猫を減らすためには、まず「外で生き続けなければいけない猫を激減させることしか方法はない」とも語ります。

行政や自治体などの協力も当然必要ですが、私たち自身も「外で暮らす猫たち」のことを考え、学ぶべきだと思いました。

城下町にゃんこの会
https://syncable.biz/associate/joukamachinyanko/vision

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