松岡修造さんからわが子のスポーツに熱くなる保護者へ「試合のビデオを撮って親が指示するのはやめて」

ココハレ ココハレ

話題はテレビゲームの話へと移りました。

松岡さん:僕、テレビゲームは悪いと思っていないんですよ。視力の問題やゲーム脳と批判される部分もありますけど、鍛えられる部分もありますから。今はeスポーツもあって、僕も取材しました。

――「ゲームはなるべくやらせたくない…」と親は思っちゃいます。

松岡さん:目指すのは、テレビゲームよりも面白い地上でのゲームです。スポーツもそうですが、地上でのゲームは自分が動いている生ものだから、それに勝るものはない。ゲームにはまっている子どもに対しては、それ以上のものを探せてないという捉え方です。あとはルールでしょうね。ルールって、子どもたちだけで決められるのかな?でも、この間取材したからねぇ…。

――松岡さんが認可外の学校を取材されているのを、テレビで見ました。子どもたちが何でも自主的に決めていく様子が印象的でした。

松岡さん:全部子どもが決めるんですよ。授業の内容も全部。でも、ルールはあるんですよ。子どもたちに責任があるから、自分たちで決めたルールがより厳しい。これは本当に自立していくなって。

――「個性」と「ルール」って相反するものと捉えられがちですが、「基本」という意味でのルールはないといけないですし、ルールがあると、子どもたちは面白さを感じて成長していけるんですね。

松岡さん:僕は自分で言うのも何ですけど、人から見たらちょっと若い感覚がある。僕の周りにいる人は迷惑かもしれない。僕自身が子ども的なところがあるから。

――(笑)。

松岡さん:それはジュニアや子どもたちに携わっているから。子どもたちのエネルギーは僕に大きな力をくれるんです。お孫さんのいるご年配の皆さんも含めて、子どもと一緒にいる時間ってすごく大事。子どもは最初は基本、「無理」って言わないから。年齢とともに諦めるんじゃなくて、やってみる。そのきっかけは子どもがくれるんじゃないでしょうか。

子どもの安全地帯を広げていきましょう

あらためて、親の役割とは?

松岡さん:僕がジュニアたちによく言うのが「君たちは安全地帯にいるんだ。何があっても、どんな失敗をしようが、親が絶対守ってくれるぞ。支えてくれるぞ。だから、好きなことをやれ」。もちろん、全員の親がそうではないかもしれませんが。この言葉を発すれば発するほど、自分も守る力や支える力が大きくなります。

――子どもを守る力に、支える力。

松岡さん:安全地帯を広げるのが、親の役割かもしれないですね。今はどんどん狭めたい。怖いとか、危険とか。子どもにうまくいってほしいから、先に道をつくっちゃうんですよね。

――先回りはよくないと分かりつつ…。

松岡さん:ジュニアの親御さんからも「この子をこうしたい」「こうやったらうまくいく」という話があります。でも、僕は聞きません。それは親が考えていることであって、子どもが本当に何をしたいのかが大事。

親から子へ、大事なことを伝えていく際のポイントも語りました。

松岡さん:一番の教育は「気付き」ですよね。「アハ体験」。その子が「あっ!」と気付く瞬間。若い女性とおばあさんの両方が見える絵があります。「若い女性に見えた!」「おばあさんに見えた!」で「あーっ!」ってなりますよね。あの感覚が大事だと思っています。

――発見すると、熱くなりますね。

松岡さん:発見した感覚は、一気に変わる瞬間です。あと、「ちょっとできた」という「ミニ・できた」。自分の中でちょっとできたことを「ビッグ・できた」というふうに捉えられるかです。

――変われる瞬間を、大事な瞬間として自分で捉えていけるかということですね。

松岡さん:「できたじゃないか!」と伝えた時に、「いやー…」と答える子がいたら、僕むちゃくちゃ怒る時があるんです。「何でだ!」「ちょっとでもこんだけ変わった自分を、君は何で喜べないんだ!」って。子どもからしたら、「なんで怒られるんだろう」みたいな(笑)。

――それは確かに(笑)。親として、子どもが気付く瞬間を大事にしていきたいと思います。

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