1890年創業の和菓子店「風流堂」(松江市矢田町)などがスパイスを使った「スパイシー羊羹(ようかん)」を考案した。フードディレクターらと約2年間をかけて、日本酒にも合う味を研究した。チョコや唐辛子、クミンが入ったパパイアチャツネなど5種類の味を用意し、2024年11月ごろの一般販売に向けて準備を進める。
手がけたのは風流堂の内藤葉子社長、日本食育コミュニケーション協会の石原奈津子代表、みそ汁とおにぎりの専門店「MISOJYU(みそじゅう)」(東京)やスパイスカレー店「Spice Alchemy(スパイス アルケミー)」(松江市)を監修するエドワード・ヘイムスさん(東京都在住)の3人だ。
石原さんが出雲国風土記に記載があり、神が宿る草として出雲大社のしめ縄にも使われるイネ科の薬草「マコモ」に着目。島根の食や文化を発信したいと考え、スパイスに詳しいヘイムスさんや和菓子を作る内藤社長に持ちかけた。
ようかんの味は「パパイアチャツネ」「ビーツとサツマイモ」「トマトとイチゴ」「ダークチョコレートと大蛇の唐辛子」「真菰味噌(まこもみそ)」の斬新な組み合わせの5種類。島根県産のマコモや唐辛子、沖縄の黒糖や奄美群島のザラメなどを使用して、素材の色味をそのまま使った。
スパイスやフルーツ、ナッツ、みそなど食材の配合はヘイムスさんが担当し、ヘイムスさんが用意したペーストを風流堂の和菓子職人があんと合わせ、円形のようかんに仕上げた。1個40グラムで食べ応えがある一方、甘さ控えめで、ワインや日本酒とのペアリングを意識した。
記者が印象に残った味は「ダークチョコレートと大蛇の唐辛子」。ビターチョコと黒大豆みそという意外な組み合わせが想像以上に相性がよい。雲南市産の「大蛇の唐辛子」がほどよいアクセントになっている。まさに新感覚だ。
内藤社長は「ようかんはお茶と飲む前提で作る。抹茶の香りを消さないよう、香りが強いものを入れるのはあまりなかった。ヘイムスさんの案で、お酒に合うようかんができ、刺激になった」と振り返った。
今後は10種類を商品化する。商品化に向けた運営費を賄うため、3月下旬までにクラウドファンディングを実施。5種類のようかんを返礼品とした。