6月導入の「観光特急バス」で混雑は緩和するか?
京都市では6月から、市バスの混雑の緩和を目指して、観光客の利用を促すPR事業費・約7500万円をかけ、JR京都駅と「東山エリア」を結ぶ「観光特急バス」を導入するという。運行は土日祝日のみで、運賃は現在の京都市営バスの運賃(230円)の約2倍超の500円(子ども250円)となる。
京都のタクシー運転手によると、京都を訪れる海外からの観光客の多くは、円安でもタクシーを利用せず、市バスで移動する傾向があるという。果たして、市バスよりも運賃が高い「観光特急バス」の導入は混雑の緩和につながるのだろうか?
「京都市交通局の限られた資源(車両台数+運転士)を利用して混雑緩和を防ぐには良い案だと思っております」と、京都の市バス事情に詳しい釜玉うどんさん。
「運賃を500円(地下鉄、バス一日券1100円でも利用可能/京都市敬老乗車証、市バス定期券での乗車は不可)とすることで、市民との住み分けができると思います。正直、現在でも東山方面に臨時バスを頻繁に出しているのですが、行列は改善されていないので、実際にどこまで混雑緩和に寄与できるかは未知数ですが…」(釜玉うどんさん)
混雑緩和には「大型荷物」持ち込み制限も重要
釜玉うどんさんは、「京都市バス」と「寺社仏閣巡り」を愛する京都市民。「市民が乗れない市バス」と言われる京都市営バスの現状について、「確かに、住民税を払っている市民が市営バスに乗れないのはおかしいと思います。しかし公共交通機関である以上、市民を優先させるということはあってはならないと考えます。市民だけ、観光客だけが乗れるバスを導入することも法律的な限界があると思います。なので、混雑は我慢します(笑)」と語る。
「令和6年度の京都市バスの車両台数は810台、利用者が多い12路線が黒字で、赤字が62路線。限られた資源内で、人が集中する路線に資源を注ぎ、赤字路線の減便は止むを得ない…。市内を一周できる環状線地下鉄の建設を!との声もありますが、地下鉄東西線建設時の莫大な借金が残っており、新たな地下鉄建設は難しいと思います。
例えば、京都駅→東山方面→京都駅のような、主要な観光路線を循環する連接バスを数分間隔で走らせれば、混雑緩和に繋がるかもしれません。また、市バスの混雑緩和のためには、運送約款で定められているサイズ以上の大型荷物の持込みを制限することも重要だと思います」(釜玉うどんさん)
京都市営バスの台数や運転士の数、そして街全体の大きさに対して、京都市内を訪れる観光客の数は今、完全にキャパオーバーの状況だ。
桜見物の後も、葵祭や祇園祭などの祭事を目当てに、世界中から観光客が京都に押し寄せる。京都市民にとっては試練の日々となる。