人や街を見る目が変わる?「新潟国際アニメーション映画祭」の映写ボランティアやってみた 湯浅政明監督らも来場

宮本 裕也 宮本 裕也

 国内外のアニメーション映画が新潟市内に集まる「第2回新潟国際アニメーション映画祭」が3月20日(水・祝)まで開催中だ。2023年に続き2回目となる今年は、日本やタイ、ブラジルなどといった29の国と地域から集まった長編コンペティション部門。世界で知られる高畑勲監督の長編映画全作品上映や『犬王』の湯浅政明監督短編特集、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の富野由悠季監督らのトークイベントなど、見逃せない企画が目白押しとなっている。

そんな濃密な映画祭を支えるのは、現場スタッフとボランティアの存在だ。この映画祭に注目していたある日、興味深い募集を見つけた。「ボランティア募集…映写補助?!」

映写と言えば、映画の上映の際にスクリーンに映像を写す重要や役職。こんな貴重な体験ができるとあっては手を挙げないわけにはいかない。映画祭を楽しむ&映写補助体験のために新潟に向かった。

新潟は会場までの道中にも映画祭のフラッグが掲示されるなど、街を挙げて映画祭を応援しているようだ。他にも映画祭に合わせて、上映施設近くでは音楽イベントや出店など街を楽しんでもらおうという工夫が見られた。

そして会場へ。朝9時に集合して、早速仕事がスタート。ご指導いただいた映写スタッフは今回が初めての映画祭だという。以前は全国のホールなどで上映会の映写を担当していたということもあり、話は弾んだ。

映写補助ボランティアの仕事はズバリ、映画をスクリーンに映す。めっちゃ本格的。と言ってもスタッフの合図に合わせてスイッチを押すだけのシンプルな作業。「とにかくやってみる。責任は取るから」という映写スタッフの言葉を信じ、業務に没頭した。映画が始まっても、次の上映作品の準備をするなど、案外落ち着く暇もなかった。しかし何百人もの人たちが観ている映画を自分で操作する瞬間は貴重な体験だった。

映画祭ボランティアにはこんな動機で参加した人も。

「現在、学生で美術部に所属しています。将来はアニメに関わる仕事に就きたいので、先生に相談したら、このボランティアのことを教えてくれました」。映写業務は初めての経験だと言い、真剣に映写スタッフの話を聞く姿が印象的だった。映画を通して、異なる世代の人とコミュニケーションが取れるのも映画祭の魅力だろう。

4時間程度のボランティア業務を終えて、上映会場へ。もちろんボランティアも映画祭を楽しむことができる。「国際」と銘打たれているだけあって、各会場では海外のクリエイターも作品を鑑賞し、感想を共有していた。彼らの道案内も翻訳ボランティアなどが担っている。

「映画祭」と聞くと「映画好き以外、敷居が高い」と思われるかもしれないが、まずはボランティアとして参加するのはどうだろうか。「映画祭」でしか見られない人や街の姿があるかもしれない。

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