「グラサン師匠」のペンネームで活動する京都市在住の漫画家廣瀬敢(いさむ)さんが、NPO法人を立ち上げ、学童野球の振興に取り組んでいる。息子が所属したクラブのスタッフを務めるほど大の野球好きだが、子どもの競技離れが気になり、一念発起。賛同者も次々と集まり、ついに大会を京都野球の聖地で初めて開催した。
2023年12月17日、小学4~6年生の女子約40人が、わかさスタジアム京都(右京区)に集まった。開会式で、廣瀬さんが「野球やろうぜ!」と宣言。メンバーを入れ替えながら試合を行い、観客から熱い声援を受けた。
廣瀬さんは競馬やパチンコを題材にした漫画を描きながら、「柊野ブラックジャガー」でスタッフも担う。学童野球の選手が減少していることについて、「保護者の負担が大きいから敬遠されている」ことも原因だと考え、2021年にチーム運営を支援する「野球やろうぜ」を設立。自身が理事長となり、試合の審判や買い出しの代行、合宿の手配などを請け負うサポートを始めた。
女子の大会は、普段は男子と同じチームで試合出場が少ない女子にも活躍できる舞台をつくろうと企画。熱意は広がり、さまざまな支援者も現れている。
仕事で知り合った健康食品会社「わかさ生活」(下京区)の役員が、同社がネーミングライツ(命名権)を持つわかさスタジアム京都を無償で使わせてくれた。同社が日本女子プロ野球リーグの運営に携わった経緯もあり、活動に賛同したという。開会式には、元中日の山本昌さん(58)がバックスクリーンの映像に登場。競馬好きで廣瀬さんの漫画のファンである縁で、エールを送った。京都外大西高の女子野球部も、大会の運営に協力した。
参加した柊野小6年の児童は「他の女子と一緒に試合ができて楽しかった」と喜ぶ。廣瀬さんは多くの支援に感謝しつつ、「みんな笑顔で野球をしてくれ、感動しています。このスタジアムの景色が、子どもたちにとっていい思い出になればうれしい」と、晴れやかな表情を浮かべた。