マンションは住民でマンションを維持管理していく必要があります。もちろん、管理会社の手助けを得ることはできますが、全てを任せきりにできるわけではありません。
リノベ前提でマンション探し
Oさん(関西在住、20代女性、専業主婦)は夫(30代、個人事業主)と子ども2人(3歳、0歳)との賃貸マンションで4人家族です。夫は場所を選ばない仕事をしているため、家で仕事をしていることが多いです。家に家族全員がいることが多いため、もっと家の環境を良くしたいと思い、マンションを購入することにしました。
マンション探しは、リノベーションすることが前提でした。リノベーションで間取りを変えれば、夫が仕事をするための書斎を作ることができそうだからです。今の家賃が14万円だったので、同程度の負担におさまる5000万円を予算の目安にしました。
その後、物件探しはスムーズに進み、マンションの管理状態が良く、すでに前の入居者さんによってリノベーションがされていたという部屋に出会いました。自分たちが追加でリノベーションをしたいと思う部分は少なく、コストが抑えられました。
最終的にはマンションが4000万円で、リノベーションが600万円ほどになり、予算内におさまりました。家族みんなが大満足の新居でした。
管理組合の理事長に選ばれてしまい
住んで5年ほど経過した時でした。マンションでは管理組合の理事長を毎年決めるのですが、立候補する人がいない場合はクジで決めるルールでした。
そして、その年はOさんが理事長のクジを引いてしまい、選任されてしまいました。ただ、選ばれた時は管理会社もいるから大丈夫かな、と思っていました。
しかし、思ったより仕事が多く大変です。マンションの修繕の状態や、問題点などを確認しなければなりません。行いたい修繕の了解を住民に得ようとしても、反応が無い住民も多いので、前に進まず困ってしまうこともありました。
さらには、住民同士のトラブルの窓口にされることも多かったです。隣の人の騒音がうるさいとか、ゴミ出しのマナーが悪いなどといった愚痴が集中しました。管理会社に伝えておきますとはいうのですが、中には「理事長なのだからどうにかして!」と言われてしまうこともありました。
理事長をしているときはマンションの人とコミュニケーションを取ると何か厄介ごとを言われるのではないかと思い、会話も極力避けてしまうようになりました。
無責任なことはしたく無いので、最後まで職務は全うしましたが、「また理事長をお願いされることがあれば断りたいと思ってしまっている」とOさんは話しています。
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このような悩みはよくあることなのでしょうか?
アルファホーム名古屋株式会社でマンションコーディネーターとして、不動産仲介も担当している川本麻登さんに話を聞きました。
ーー理事長はクジで決められることが多いのでしょうか?
理事長の選出方法には、主に「立候補」「推薦」「持ち回り(輪番制)」などがあります。候補者がいない場合や、組合員で公平に役割を分担するため、全戸持ち回りで理事になる輪番制を採用しているケースが多いイメージです。Oさんのマンションのように立候補する人がいない場合、クジで決めているマンションもあるようです。
ーー理事長に選ばれると大変なことばかりなのでしょうか?
理事長は確かに、マンションの管理を任される重要な役目なので大変なことも多いかと思います。その一方で、マンション全体の問題点を把握できるので、そういった管理をするのが得意な方はやりがいがあると思います。ずっと同じ方が責任持って理事長をしているマンションも知っています。
ただ、理事長は大変な作業なのは間違いないです。そのため、立候補者が毎回おらず、仕方なくやっている状況を変えるためにも報酬制を設けているマンションも存在します。もし理事長をしても何もメリットがないマンションはそのような取り組みを参考にしてみるのも良いと思います。
◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社 マンションコーディネーターhttps://alphahomenagoya.jp/