もし、あなたが不動産を探すときに何を重点に探しますか?不動産探しは多くの人が、立地やマンションの築年数や外観、内装などの条件から理想の住処を探していくと思います。しかし、中々全ての条件が一致するような100点のマンションは見つかりません。ただ、見つからないからといって、一つの条件だけにこだわりすぎて探すと思わぬ失敗があるかも知れません。
憧れの場所への引越し
Sさん(千葉県在住、30代、インテリアショップ店員)は夫(千葉県在住、30代、銀行勤務)と子ども(5歳)3人暮らしで賃貸アパートに住んでいました。
今の賃貸アパートでは子どもが大きくなり、荷物も増えてきて、手狭に感じていました。さらに子どもが小学校にあがる年齢が近いということもあり、入学前に引っ越しをしてしまいたいと考えました。そこでマンションを購入することを夫と相談して決めました。
不動産屋に行き、立地、築年数、金額、など希望の条件を伝えました。ただ、理想が高く中々良い条件のマンションに出会えませんでした。そこで不動産屋の担当者から「譲れない条件は何か」と尋ねられたので、立地と答えました。というのも、車を持っていないこともあり駅から近い所は絶対条件にしたかったためです。そして、子どもが通う小学校の学区は評判が良い所に引っ越したいと思っていたので、そこは絶対に譲れませんでした。
しばらく探していると、価格が3500万円で、駅までも徒歩3分と近く、学区も評判の良い小学校という、条件的に良さそうな中古物件が見つかりました。マンション自体は築20年で、部屋は新築当時のまま手が加えられておらず、修繕しないと住めない状況でした。しかし、これまで内覧してきた物件の中では立地がとても良かったため、リノベーションをして住むことに決めました。
マンションのローンなどの手続きをすると同時に、リノベーションをお願いする工務店と内装工事の打ち合わせを始めました。リノベーションの費用は出来るだけ抑えたいと思っており、扉などを残すなどして使えそうな所は変えずに打ち合わせを進めていきました。
しかし、進めていくとせっかくなら全部綺麗に変えたいと思うようになり、結局フルリノベーションを1000万円程かけてすることにしました。リノベーション代も住宅ローンに組み込んだので、月々のローンの支払いが重たくはなってしまいましたが、夫婦ともに大満足の内装に仕上がりました。
引っ越した後の悲劇
引っ越しをして半年。新生活も特に問題なく幸せに過ごしていました。そんな中管理組合からポストに一通の手紙が届いていました。内容は、マンションに月々支払っている、マンションの修繕などにあてる資金、修繕積立金を1万円から2万円に引き上げるというものでした。
それを見てすぐに管理会社に問い合わせました。管理会社の回答は、「今の修繕積立金の現状では大規模修繕など行うことが出来なくなるので、前回の理事会で値上げが決定した」とのことでした。
予定が合わず、理事会に参加していなかったのが悪いとは思いますが、突然のことに大変驚きました。マンションの購入資金と、リノベーション費用をローンで組み、管理費、修繕積立金を入れて月々12万円になる様に計算していたので、住んでからすぐ値上げされるのは当初の計画が狂ってしまい生活費を削らないといけなくなってしまいました。
元々上がることを知っていれば、リノベーション費用も抑えたし、もしかしたら購入すらやめていたかもしれません。マンションの立地ばかり気にしすぎて、管理状態や、マンションの今後の修繕の方針など買う前に気に留めなかったのをとても後悔しているとSさんは教えてくれました。
◇ ◇
こういった問題は購入前から気づくことはできたのでしょうか?
アルファホーム名古屋株式会社でマンションコーディネーターとして、不動産仲介もされている川本麻登さんにお話を伺いしました。
購入前にも…修繕積立金の値上げ予定などを知ることができる
ーーマンションの管理費や修繕積立金が上がるという情報は購入前に知ることは可能なのでしょうか?
もちろん可能です。マンションには重要事項調査報告書というものが存在します。 これは、マンションのルールや修繕がどれだけされてきたかなどが記載されており、購入するときに渡されます。重要事項調査報告書には、マンションの修繕積立金の金額がどれだけ貯まっているかも確認することが出来るので、あまりに少ない金額だと上がる可能性はあるかもしれません。また、購入前に決まっていればそれは不動産業者から説明はされていると思うので、Sさんは購入後に決まったということでしょう。
マンション購入する上で、立地はとても大事ですが、マンションの管理状態は同じくらい大事だと思います。なので、良い物件が見つかっても、マンションの中身、管理状態というものを不動産の人に確認してもらい、直近の理事会で、値上げの検討がされているかなども確認してもらうと、このようなことは起きづらいでしょう。それと住んでからは、理事会にはできるだけ参加してマンションの方針を知っておく事はとても重要かと思います。
◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社 マンションコーディネーター
https://alphahomenagoya.jp/