納車は春以降の人気ぶり…BMWのバイク最新モデル「R1300GS」、完全無欠のツーリングバイク

小嶋 あきら 小嶋 あきら

 BMWのデュアルパーパスモデル、GS。初代のR80G/Sが登場したのは1980年です。800ccだった排気量は年を追うごとに大きくなって、ついに昨年秋、最新モデルR1300GSがデビューしました。

 BMWというとクルマのイメージが強いかも知れませんが、実はバイクの方が歴史は古いです。もっともポピュラーなRと呼ばれるシリーズは、水平対向二気筒のエンジンを車体の進行方向に対して縦に積むという、まるでプロペラ機のような特徴的な構成。もともと飛行機を作っていたBMWらしいといえるのかも知れません。あの十字に白と青のエンブレムも、プロペラと青空、雲をモチーフにしたものといわれています。

 筆者は1991年式のBMW、R100GSというモデルに新車から30年以上乗っていますが、伝統的なこのレイアウトのおかげなのか、重心が低く直進性が良く、それでいて素直に軽くバンクして曲がってくれるとても乗りやすいバイクだと感じています。

 そんなBMWから昨年秋に発売されたのが、R1300GSというモデルです。売れ行き好調らしく、筆者の周囲でも既に数人が予約していますが、納車は春以降といわれているようです。

 普段乗っているバイクの、30年後の進化形。いったいどれほど変化しているのか、またその魅力は。いろいろと興味は尽きないので、試乗に行ってきました。

見た目の巨大さとは裏腹の軽さ、そして進化した装備

 初めて目にするR1300GSの第一印象は「やっぱり大きいな」ということ。乗り慣れたR100GSと比べると、一回り大きく見えます。特に水冷化されたエンジンのシリンダーは「ドーン」と太く大きいです。実際、カタログデータでも237kg。R100GSと比べると20kgくらい重いです。しかしこれでも直前のモデルR1250GSより15kg近く軽くなっているそうですが。

 跨がってみると、意外にもシートはそう高くありません。身長171cmの筆者で、さすがにかかとまでべったりとはいきませんが、不安の無い程度に両足が着きます。乗ったまま足をバタバタしてバックするのも普通にできます。また、重心というか重量のバランスが良いのか、とても軽く感じます。

 実は今回試乗させてもらったのはR1300GSツーリングというグレードで、電子制御のサスペンションが着いているのです。これは停止中は自動的に車高が下がって、走り出して時速15キロを超えると標準の位置まで上がるという実に有り難い装備です。さらに、停止してセンタースタンドを上げようとすると、これまた自動的に車高が上がって(サスペンションが伸びて)、軽い力でスタンドがかけられるようにアシストしてくれるというフレンドリーさ。なんて優しいバイクなんでしょう。

 目の前の巨大なタンク、真ん中に蓋があります。開けるとそこは、スマートフォンの定位置。充電用の端子も用意されています。全て液晶化された大型のディスプレイと連動して、ナビや情報の表示、音楽再生もコントロールできます。またメーター類も全てここに表示されます。

 エンジンをかけます。静かながらも1300ccという排気量を感じさせる、乾いた排気音です。タコメーターは5000回転少し上辺りからレッドゾーンになっています。あれれ、こんなに低回転型のエンジンなのかな、と思っていたら、これがまあエンジンが暖まるにつれてレッドゾーンが徐々に上の方にずれていくという、進化したやつでした。暖まるまではここまでしか回さないでね、ということですね。

完全無欠のツーリングバイクかも

 軽いクラッチを握って、一速に入れて走り出します。標準的な湿式のクラッチで、ごくごく自然に「すーっ」と。標準位置まで車高が上がったのは感じません。これまた自然に動作しているようです。全ての操作が軽くて楽々、最初の印象のような緊張感は全くありません。車両本体価格で300万円を軽く超えている、という心理的な緊張感はもちろんありますが。

 走行中はクラッチを握らなくてもシフトができたり、アダプティブクルーズコントロールが装備されていたり、電動でフロントスクリーンが調整できたり、グリップヒーターやシートヒーターが標準装備されていたり、至れり尽くせりの快適装備満載。これはきっと長距離になればなるほど真価を発揮する、そしてターマックでもグラベルでも道を選ばない、ほぼパーフェクトなツーリングマシーンだと感じました。

 この新しいエンジンは145馬力。これはかつてバイクブームの頃、市販車最強だったヤマハのV-Maxが、Vブースト(6000回転から上でバタフライバルブが開いてキャブレターが二丁掛けになるというどっかんパワーお楽しみデバイス)全開の時と同じパワーです。あれは300kg近いボディをこわいくらいの勢いで加速させてましたが、このGS、普通に走ってる分にはとてもジェントルです。しかしたぶん、一旦全開にするときっとものすごい加速をするのでしょう。一般道で短い距離を試乗しただけなので今回その辺りは試せませんでしたが。

 ただ一つ、ちょっと気がついたのは、ニュートラルギアでアイドリング中、クラッチを握るとほんの少し回転数が下がるんですよね。これはきっとまたなにか裏で制御が入ってるのかなと思って、ディーラーの方にたずねてみましたが、よくわからないとのことでした。

 その辺りも含めて、いまのバイクって奥が深いというか、すごいなあと感じました、ほんとに。

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