枕を使い続けて10年、カバーをキレイにしていたら大丈夫でしょうか? メーカーに聞いた、買い替えが大事な理由

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歯ブラシ、タオル、下着など、日々使う日用品…消耗を感じたタイミングで新調する人は多いでしょう。しかし枕は、枕カバーを定期的に変えていれば、余程の劣化が無い限り、ずーっと使い続けているという人が多いのでは? 考えてみれば今、使っている低反発の枕は10年ぐらい使っているような…。

そこで枕の買い替えについて興味深い調査をしていた、ITと医療を活用した睡眠ベンチャー「ブレインスリープ」に確認したところ、替え時は約2〜3年ということで驚き。詳しく話を聞きました。

5年以上買い替えない人が約4割も!

そもそも枕は、今のような形状になって普及したのは昭和40年頃だとか。昭和世代の定番素材であるそば殻、そこからウレタンや綿、羽根が主流となり、今ではビーズ、ファイバーなど素材も多様化。

そんななかで、「ブレインスリープ」が独自に行った過去の枕に関する調査によると、なんと半数以上の方が3年以上、3割以上の人が5年以上使用している結果に。買い替えの頻度では、4割以上が5年以上と答えています。5年以上はひとくくりになった調査なので、中には10年、15年使っているという方もいるでしょう。

人によってかなり違うことが分かった、枕を買い替えるタイミング。その何年も使い続けている枕、実はすごい状態になっている可能性大なんです。

調べてみると2万匹以上のダニが…

同じく同社の調査で、5年以上使用した枕を調べてみたところ、なんと羽毛素材の枕には2万匹以上のダニが繁殖し、カビは10万個を超えていたそう。

ちなみに素材によってその結果には大きな差が。この調査では「ウレタン」「羽毛」の2種類を比べていますが、特にダニの繁殖では、ウレタンの枕は表面には数百匹のダニがいたものの、内部にまでは侵入しておらず、逆に羽毛では表面にはダニが見られないものの、内部には数万匹のダニが繁殖。

気温20度以上、湿度60%以上の環境で爆発的にダニが繁殖。梅雨のシーズンがダニにとって最高の住処となり、急増のピークは7月。ダニが侵入しやすく、繁殖しやすい環境は「6月~7月の羽毛素材の内部」だったんです!

枕カバーは変えているとはいえ、その枕の内部からダニが出ていくわけではないので、長期間使用している枕=たくさんのダニの死骸やカビ菌と共に寝ていたことに…。このように、ダニやカビが大量に発生する環境の枕を使用すると、様々なアレルギー疾患の一因になるとの報告も。風邪でもないのに鼻詰まりで寝苦しい人、もしかすると長年使い続けている枕のせいかもしれません。

枕の買い替えはいつがいいの? なぜ?

毎年全国の1万人を対象にした「睡眠偏差値(R)」という独自の調査を行っている「ブレインスリープ」は、「睡眠医学」と先進のテクノロジーで良質な睡眠をサポート。広報担当の古川さんに枕の買い替えとケアについて聞きました。

ーー枕を買い替えるおすすめのタイミングは?

タイミングは新年でも誕生日でもセールでも、人それぞれでいいと思います。年数は素材にもよりますが、一般的に2~3年程度と言われています。それはおよそ2~3年で、頭の重みや汗等により、素材が劣化・変形したり、ダニ・カビの発生率が高くなることが考えられるためです。

ーー買い替え年数と価格との関係は?高額な枕=長持ちでしょうか。

必ずしも価格が高いからと言って、買い替え時期も長くなるとは言えませんが、枕自体の素材や構造による耐久性が優れたものは、長持ちする傾向にあるでしょう。本体が丸洗いできる素材のものは、ダニやカビによる侵食の心配は防げて衛生的なので、比較的長く使われる方が多いです。

ーー枕そのももの基本的なケア方法を教えて下さい。

素材ごとによってケア方法を変えるのがオススメです。

【羽毛枕】デリケートな素材で丸ごと洗濯できないものが多いため、部分的に手洗いし、日陰の風通しが良いところで干してください。

【ウレタン枕】こちらも水に弱く洗濯はできません。汚れたら中性洗剤などで拭き、風通しの良いところで干してください。

【ポリエチレン樹脂素材】当社の「ブレインスリープピロー」もそうですが、シャワーで簡単に丸洗いできます。しっかりと水を切り、同じく風通しのよいところで干してください。

いずれの素材も、直射日光に干したくなりますが、素材を劣化させるおそれがあるため陰干しを推奨します。また、日頃のお手入れとして「スプレー材」も効果的ではありますが、そもそも枕自体の汚れを落とすことには繋がらないので、かけすぎや濡れたままになると、水分が残り素材が劣化するケース等があるため、注意が必要です。

ーー髪が濡れたままで寝てしまうなど、枕の雑菌やダニが増えやすい注意すべき環境はありますか?

特に梅雨や夏の時期は寝室や寝具もダニ・カビが好む環境になる傾向にあるため、枕は通気性の良いものにするなど、熱をこもらせない環境をつくることが重要です。

それ以外の季節でも、例えば濡れたままの髪で寝てしまうと、ダニが好む湿度を上げることになるので、必ず翌朝枕をしっかり乾かすことが重要です。基本的にどのシーズンでも、枕は湿気がある状態で放置しないことがポイントになります。

ーー枕カバーについて。理想的な洗う頻度や衛生面で気をつけることは?

枕カバーにはフケや皮脂、寝汗など多くの汚れが付着して、放置しておくと雑菌が繁殖するだけでなくダニ・カビの原因にもなるため、週1~2回を目安に洗濯することをおすすめします。カバーの生地の素材は、通気性や吸湿性・放湿性、保温性、肌触りなど、どれを重視するかによって選ぶと良いでしょう。例えば通気性重視ならメッシュやコットン、リネンを。吸湿性・放湿性重視ならシルク、肌触り重視ならコットンやパイル素材がおすすめです。

◇ ◇

東京都福祉保健局の『健康・快適居住環境の指針』(平成29年3月)によると、アレルギー疾患の患者のいる家庭では、床面のダニ数は100匹/平方メートル以下が望ましいとされ、「家内でダニの糞や死骸を吸い込んでしまうのは、主に睡眠中です。一日の1/3の時間を過ごし、体に接して使う寝具の管理は特に重要です」としています。そう考えると、毎夜寝ている間に、人間のアカ、フケなどを食べるダニが、どんどんと枕内で増え続けるというのは恐ろしい状況ですよね。

春に向けての新生活、もしくは心機一転というタイミング。枕の買い替え時がいつだったか振り返ってみて、衛生面を考え「洗える」「通気性」で選んでみてはいかがでしょうか。近年は「防ダニ加工」を施したものも多いので、好みの寝心地と合わせてぜひご検討を。

■ブレインスリープ【1万人に聞いた、枕の使用年数5年以上が約4割!】
https://brain-sleep.com/news_corporate/261/
■ブレインスリープ【意外と知らない寝具の歴史!布団はいつから使われていた?】
https://brain-sleep.com/magazine/bedding-history/

■東京都福祉保健局の『健康・快適居住環境の指針』(平成29年3月)https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/kankyo_eisei/jukankyo/indoor/kenko/index.files/zenbun3.pdf

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・さとうまりこ)

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