まさかエリート副支店長が「998万円着服」 金庫の札束を「模造札」にすり替えて…バブル期の銀行で起きた大胆悪事 なぜバレてしまったの?

八幡 康二 八幡 康二

それだけ用意周到にやっていたのに、どうしてバレてしまったのか

――それだけ用意周到にやっていたのに、どうしてバレてしまったのですか?

実はその副支店長は別の辞令で支店異動が決まっていました。当時の銀行では辞令が出て2週間後に異動します。この2週間で副支店長業務の引継ぎや、お客様へのあいさつ回りなどを完了させなければいけません。そんな多忙を極めた状態だったため金庫のなかの模造札まで手が回らなかったようです。副支店長が異動した後の現金監査で模造札が見つかり、調査により副支店長の犯行だと判明しました。

ーー懲戒解雇された副支店長はその後どうなったのでしょうか?

彼がその後どうしているかまでは分かりませんでした。少なくとも他の銀行への転職はしていないようです。

ーーこういった現金のすり替え事件というのはよくある話なのですか?

今回のような事件は、後にも先にも聞いたことがありません。現在では金庫の鍵と、現金庫の鍵を別々の人間が管理するなどして、相互牽制がとれるよう運用されています。鍵を開けた場合、どの時間に誰の権限で開けたのか分かるようにセキュリティ強化も実施されました。そのため今後は今回のような不祥事はまず起こらないでしょう。

――それにしてもこんな事件があったとは驚きなのですが、テレビやワイドショーなどでは取り上げられなかったのですか?

外部に報道されるようなことはありませんでした。恐らく示談が成立し、銀行が副支店長を告発しなかったか、告発しても取り下げたためでしょう。

   ◇   ◇

テレビやワイドショーで不正な資金着服事件などの報道を見ると、「お金持ちなのになぜこんなことをするのか?」と疑問に感じることがあります。もしかしたら出世のために自分の稼ぎ以上のお金が必要になることが、このような事件の発端となっているかもしれませんね。

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